このレビューはネタバレを含みます
ビクトル・エリセの最新作です!事件です!
ということで劇場で鑑賞しました。
3時間のビクトル・エリセにビビっていた上、開演13:10という眠気との厳しい時間でした。
入りは結構入ってて、前半は瞳を閉じている人もちらほら。
感想としては、余韻と解釈の幅を持たせるザミニシアターでした。
前半はフリオにまつわる思い出の回想、後半は記憶喪失になってからのフリオとのやりとりと、半分に分かれます。
ポイントは、映画内映画の『別れのまなざし』です。フリオの人生の変奏のようなこの映画と現実が文字通りオーバーラップする最後。アナとフリオが隣り合って映画の結末を見るのですが、フリオが記憶を取り戻すかどうかは描かれません。
ただ、父フリオとの関係を心の中で清算していたアナの感情が映画によって表現され、何も語らないフリオが何を思っているのか、幅を持たせた結末となっています。
映画館の中で瞳をとじるフリオ。物語のコンテキストを超えて、映画の素晴らしささえも教えてくれているようです。
やはり、人生は映画であり、映画は人生である。