スワット

落下の解剖学のスワットのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.9
2024年劇場鑑賞30本目 字幕鑑賞
第76回カンヌ国際映画祭でパルムドール受賞、今年度アカデミー賞では脚本賞を受賞した本作品。

監督・脚本はジュスティーヌ・トリエ、主演にアカデミー賞・主演女優賞にもノミネートされたザンドラ・ヒュラー、スワン・アルロー、ミロ・マシャド・グラネールが出演。

脚本賞に選ばれたのは必然かと思わせてくれる緻密なストーリー構成。
映像ロケーションはほぼ、事件現場の山荘と裁判所の2箇所しかない為、画での楽しさというのはあまり感じられませんが、次第に明らかになっていくサンドラの人物像、夫婦仲、ダニエルとの関係性にスクリーンに食い入る様に見入ってしまいます。

序盤はかなりスローペースな印象で、じっくりと事件の詳細を語ってくれます。
自分はここで寝そうになりそうだなぁとか心配していましたが、中盤の裁判パートに突入した途端にそんな不安は払拭されます。
ここからがこの作品の肝ですね。被疑者、被害者、証人、弁護人達の多角的から見る側面が次々に提示されていき、観ている側の誰が正しく、誰が悪いのかを正常に判断させません。
実際、この映画の命題も善悪の判断などはどうでもよくて、これらの断片的な情報を基にあなたはどういう決断をしますか?と問いかける事に重きが置かれているのかなぁと感じました。

個人的にはダニエルという人物がとても恐ろしい存在に見えてしまいました。
ちょくちょく地頭の良さというか、大人を口で負かす事ができる程、弁が立つシーンが出てきますが…
なんなら彼が裁判の戦況を動かしていたかの様な、結局彼の最後の弁明が裁判官の心情を動かしたことは間違いないですしね。
彼が母親を生かすことを選んだ、父親を社会的悪としたことを考えることがこの映画の醍醐味でもあると感じます。

鑑賞した際に、結構前の方の席で観たのですが山荘のシーンは白過ぎて、目がチカチカしてほぼ薄目で観てました。
後方の席で観ることを超オススメします。
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