あつ

落下の解剖学のあつのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

前情報0だったから事故のまさかの真相とは!みたいなサスペンスじゃ全然なくてびっくりした笑


夫婦喧嘩の音声データや車中で父が息子に話した内容を知る以前以後でこの事件の見え方が変わっていく。音声データは夫が録音しているのだから夫の都合の悪い部分は見えない偏った情報だし、息子の証言に関しても作り話の可能性だってある不確かな情報なのにそれらの情報に簡単に影響されてしまう危うさ。
どっちの考えにもこちらを誘導してくるので観客側の立場は息子と同じように左右に振られて不安定で居心地も悪い状態が続く。その状態で餌みたいに与えられた偏った情報を鵜呑みにしてしまい考えが偏っていく。ハッキリしない不安定な状態からいち早く脱するために人って手っ取り早く結論付けて安心するために短絡的になるのかも。日常の中で無意識にしている雑な情報処理を注意された気分笑

ただ、内容が内容なだけに地味になってしまうのは仕方がないしそれを冒頭の雪景色とか天才犬で改善しようとしている感はあるけれどそれも冒頭だけであとは似たような映像の連続だったので、せめて150分という尺をもう少しコンパクトにしてくれたら嬉しかった。犬に追従していって事情聴取されている妻の元にカメラが辿り着く長回しのシーンとかは作中の中でも動きがあって良いシーンだったな。


観終わって時間空けてあれこれ咀嚼するとよりその映画が好きになって本作もそれは同様だけど一つだけどうしても引っかかるのは、スヌープにアスピリンを大量摂取させた息子。いやクソガキ。あの家庭環境だから仕方ない気もするけどあいつかなりキレてやがる…。
あつ

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