「理由は?」
「君だ」
サイコー。
いつも通りのカウリスマキ。
貧困孤独中年女性と貧困孤独アル中男性の恋のすれ違いを、台詞ではなく視線それ自体のすれ違いによって描くサイコーの切り返しがある。
ラジオからはウクライナ戦争のニュースばかりが流れて、凄まじい閉塞感が漂い続けているにも関わらず、基本はコメディなのでほっこりぽかぽか笑えて、カウリスマキの衰えぬギャグセンにうっとり。
ゴダールやブレッソンと並列に『デッド・ドント・ダイ』が名画扱いされている名画座のあり得なさ。「わたし、映画観てこんなに笑ったの初めてかも」エモすぎ。
犬がいくら何でもカウリスマキすぎる。
冷凍食品の解凍時間を間違えて解凍できない冒頭がめっちゃ最高。
地面に散らばった煙草の吸い殻の数を見て、ああ、あなたは確かにここで長い間わたしを待ってくれていたのね、と気付くシーンがあって、もはや「映画」ではそういうのだけ観ていたいものです。
ラストの『モダン・タイムス』オマージュも、こんな寒々とした時代にやられると、そりゃあグッとくるよ〜〜
戦争は続く。そして映画も続く。