んたん

枯れ葉のんたんのネタバレレビュー・内容・結末

枯れ葉(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

赴いた劇場の公開初日に観たら、いつもガラガラなシアターがほぼ満席で、アキカウリスマキの新作を待っていた人の多さに少し高揚した。

Maustetytotの曲が好きすぎて観賞後リピートしていたら、気づけば観賞日から早一ヶ月は経っていたや。
Syntynyt suruun ja puettu pettymyksinが笑ってしまうほど虚しい曲で、あんな曲を聴いたらホラッパも自分が孤独を受け入れることができる器ではないことに気づいてしまうだろうと思った。

冒頭、レジで大量にバーコード処理されていく肉塊は廃棄するものなのかな。肉体だけが消費され、社会に無慈悲な形で捧げられている現状はもはや家畜だけの話ではない。いやそんな非道が横行する世なんて社会と認めるべきでもないのかもしれない。とても悲しいけれど、自分が必死にしがみついているのもそんな世の片隅。
これは決して穿った見方ではなく、絶対に現実と切り離さないアキの映画に覗いたものだった。

文化的な暮らしが彼らにはまだ残っているところにほんのちょっとだけ希望を見出せる。デッドドントダイを観る初デート、客用テーブルセットを買い足すところも、生けた花もpekkaのサラダボウルも素敵。
上着を貸してくれるおじさん、年齢気にしすぎおじさんもかわいい。ささやかなギャグが良いよね。

アンサには、ホラッパよりも理不尽にクビを切られた時に連帯してくれる人がいたことが嬉しかった。優しいのに優しさを顔に出さない彼女の心に、愛情を受けとる部屋がまだ空いていてよかった。
ホラッパ、酒カスなのは良いけれど煙草ポイ捨てしまくることに抵抗がなくてムカついた。彼自身の危機管理能力のなさが不幸を霞めてアンサよりも同情しづらい。
それでも二人の恋路に口出しは野暮です、すまん。
んたん

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