恥ずかしながら初見。トラウマ映画と聴いていたので構えていたが、そっちのトラウマか…。男性の欲のために娶られた女性が、逆に自らの欲に男性を利用する展開は興味深かったが、最後はそれで良いのかと思ってしまった。とはいえ、あの選択肢ではそれか…。
サム・ニールの役は、この手のどうしようもない男性描写に比べると、真っ当で真面目な男にも見え、あの暴挙は許されないが、流石に可哀想と思ってしまった。まぁ、彼には親切にしてくれる家族が居るから良いのだろう。ホリー・ハンターの役は最初から選択肢が無い中、自らの意思で未来を切り拓いた。
この年齢でのアンナ・パキンの自然な演技を見るに、この時点で、ジェーン・カンピオンの演出力はとんでもない領域に行っていたのだなと。とは言え、当時、IC的な配慮が為されていたのかは気になる。流石に、あの覗きシーンは別撮影だろうが、ラストの泣き叫びは真に迫っている感じがしてしまった。
マイケル・ナイマンによる有名過ぎるメインテーマは、序盤はかかり過ぎて辟易としたけど、全体としては、そこまでかからなくて意外だった。あれを初めて作中で聴いてたら鳥肌が立っていたかもしれない。折角、実際に弾いているのなら、もう少しピアノ演奏シーン自体を長回しで見せて欲しかった気も。
