岩嵜修平

四月になれば彼女はの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)
3.8
よくある日本の恋愛映画とは一線を画す「恋」と「愛」を模索する映画。川村元気の原作からそうなのだろうが、セリフの張り巡らし方が凄い。恋愛ものに興味がない人間でも興味深い人生そのものの思索がそこかしこに。佐藤健&長澤まさみはいつもながら、やっぱ森七菜すげぇなぁ。

原作タイトルの元ネタはサイモン&ガーファンクルの同名曲のようだが、マンガ『海街diary』6巻の副題も同名で、海街といえば是枝監督。そして、川村元気×是枝は「怪物」だけでなく「舞妓さんちのまかないさん」も。そして主演の森七菜につながる。更に演出: 山田智和で藤井風となれば好きに決まってる。

撮影の今村圭佑は藤井道人作品のイメージが強いが、やはり、本作のような恋愛映画でこそ強みが発揮される印象。『百花』も撮影は素晴らしかったが、ウユニ塩湖やプラハ、アイスランドだけでなく、秋葉原や新宿の景色も美しく撮れる日本映画は稀有。今後も、山田智和監督とタッグを組み続けて欲しい。

感想で、弥生が失踪する理由等、話がよく分からないという書き込みが散見されたが、普通に手紙を読んで◯に会いに行ったという話でしょ。恋愛感情が無くなった状態で、本人も◯を抱えて、ああいう場所で人生を終えても良いと思っていた中で、ラストの展開になったと。かなり感動的だったのだけど…。

強いて言えば、現在の春と森七菜の年齢差はどうなん…とか、今をときめく仲野太賀と河合優実と中島歩の起用が勿体無い(原作だと、もっと色々な要素があるキャラでもあるようなので)とか、竹野内豊のキャラ、流石にヤバくない?とかあるけど、一つの現実を描いた話としての違和感は感じなかった。
岩嵜修平

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