映画愛に溢れた傑作。
時は過ぎていく。世の中は変わって行き、技術は進歩し、過去は忘れ去られていく。人は老いて、生きることに段々と飽きていき、記憶が薄れていく。そんな無情な世界の中で、映画は過去の一瞬を切り取り、保存し、人々が生きた証を残していく。その営みの尊さをひしひしと感じることができる映画だった。
エリセ自身の「ミツバチのささやき」へのオマージュも素敵だった。アナが手を差し伸べるシーンや、フィルムが車に乗って届くシーンでは思わず笑みが溢れた。
瞳をとじて、過去を探すのも悪くないのかも知れない。