寿司

ライフ・イズ・ミラクルの寿司のレビュー・感想・評価

ライフ・イズ・ミラクル(2004年製作の映画)
4.0
笑いと悲しみが同居すると言う、観終わった後に感情がぐっちゃぐちゃになる映画だった。
戦争という、権力を持つ一部の人間が「非論理的に、気分で」始める所業によって、一般市民・個人の人生や心がいかに壊されていくかということを描いた作品だと思う。そのシリアスなテーマを、いかにもクストリッツァらしい、悲しみなんて笑い飛ばさないとやっていけないと言わんばかりのブラックコメディと、何で演奏されてるのか段々わからなくなってくるくらいやかましい音楽で描き切っている。

ルカとサバーハはある意味、ボスニア紛争で炙り出された「難民」のような状態なんだと思う。身寄りがない、行き場がない中で愛を紡ぐ2人はとても美しかったが、途中から世界に絶望したロバが2人のカットの間にちょくちょく入ってくるのがとても痛ましかった。
アンダーグラウンド程壮大でもないし、自然豊かな田舎街が舞台で物語の枠組みは大きくはないが、その分戦争や政治の本質・人間の複雑さが抽出された脚本だったのではないかと思う。
あと個人的にはアメリカ?イギリス?のニュースキャスターを、何もわかってない偽善的なジャーナリストのように扱っているのが、クストリッツァの怒りが現れていて面白かった。
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