映画大好きザウルスくん

ブレイド3の映画大好きザウルスくんのレビュー・感想・評価

ブレイド3(2004年製作の映画)
3.1
☆再鑑賞☆
長い眠りから蘇ったヴァンパイアの始祖ドラキュラを倒すために、ブレイドは人間のヴァンパイアハンター達と共闘することになる…。前2作があまりにも神作すぎた反動なのか、圧倒的に盛り下がるシリーズワースト作品となりました🤦‍♂️💦

本作は1作目にあって2作目でほぼ排除されてしまった「人間社会とヴァンパイアの関係」に再度注目した内容になっていました。これは前2作の脚本家だったデヴィッド・S・ゴイヤーが脚本に加えて監督も担当したことにより、シリーズ全体のバランスを整えようとしたのかもしれません。そして前作ではブレイドの敵として新型ヴァンパイアが登場しましたが、本作ではそのさらなる進化の方向を描くのではなく、逆にヴァンパイアの祖先であるドラキュラをラスボスに設定していました。しかし、個人的にはこの人間社会との関わりをクローズアップしたこととラスボスを祖先に設定したこと、この2つが作品を大きく盛り下げてしまったように感じました…。

まず、あれだけヴァンパイア世界に没入できた2作目を経てから再び人間社会との関わりをクローズアップされても、大きく盛り下がるのは明らかです。また、敵の策略にハメられたにしろブレイドの存在がニュースや新聞に載せられて指名手配され、挙げ句の果てにFBIに逮捕される展開はあまりにもガッカリすぎました。このガッカリ感はシティーハンター最後のドラマスペシャル『緊急生中継!? 凶悪犯冴羽獠の最期』(99)において、テレビにガッツリ顔が出たくせにヘラヘラしている冴羽獠を見た時のガッカリ感とかなり似ています。こういう陰で動かなければいけない存在がテレビにガッツリ映し出される系の展開、個人的にとても苦手なんですよね…。しかもそんな序盤があったくせに中盤以降はスッカリ指名手配された設定がなくなってしまい、ブレイドが街中で白昼堂々と走っていても周りがあまり騒がない始末。人間にとって未知の存在であったヴァンパイアが世界中に知れ渡ったはずなのに、その事実が全く無かったかのように扱われているのはどうも納得いきませんね😒

そして、ヴァンパイアの祖先であるドラキュラがラスボスに設定されていた件についてですが、ぶっちゃけそれって1番旧型のヴァンパイアってことになりますよね?前作であれだけ新型ヴァンパイアに苦しめられたところを見た後だとそもそも設定からして盛り下がるというか…。まあ一応このドラキュラも全スペックを解放した完全体になればデビルと怪物を融合させたような恐ろしい見た目になってちゃんと威厳を見せてくれるんですけど、通常状態がメイクほぼ無しのドミニク・パーセルですからね…全然怖くありませんでした。ちなみに前作でラスボスを演じたルーク・ゴスも、本作のドミパも、共に今となってはC級アクション映画界隈を支える常連メンバーとなっていますが、少なくともこの『ブレイド』シリーズにおいてはキャリアハイを迎えたゴスの存在感が勝っていたと言えるでしょう(ドミパのキャリアハイは本作の1年後に始まったドラマ『プリズン・ブレイク』(05)で来ることになりましたね🙌)。

その他、本作は全体的に前2作にあったような差し迫った緊張感が不足していました。ラスボスのドラキュラは最初から完全体になろうとはせずに温存しているし、そのドラキュラの手下達は前作の敵のような新型ヴァンパイアではなく普通のヴァンパイアなのでだいぶ見劣りするし、案の定そんな敵幹部達は何の能力もないただ鍛えただけの人間が倒せてしまうレベルです。さらにはライアン・レイノルズが筆頭となり面白くないギャグや軽いノリが終始挟み込まれる始末。最強の番長ブレイドが軽いノリを見せるのは許せますが、生身の人間のレイノルズにはもっと必死さを見せて欲しかったところです。

さらに、本シリーズで1番の売りだったアクション面についても本作にはかなり不満が残ります。まず演出面では少し寄りすぎたり少しカット割りが多すぎたりと、ダメダメではないもののイマイチしっくりこない格闘戦が続きます。まあこの辺りに関しては前作でドニー・イェンがアクション監督をしてしまった以上、見劣りするのは仕方がないことなので多少は目を瞑ることもできます。しかし、それでも許し難いのはブレイドとドラキュラのラストバトルです。こちらは演出面ではなく主に展開面での不満になりますが、ブレイドは通常状態のドラキュラとは互角に闘えたものの完全体のドラキュラには一切歯が立たず、最後は人間が開発したヴァンパイア駆逐用の新薬兵器に助けられて勝つことになります。これは本シリーズに何を求めているかによって違うのかもしれませんが、僕は歯が立たない相手と対峙した時に他者の援助を得て勝ち抜く番長の姿を見たくはありませんでした。これまでは何だかんだで最後にはブレイドの腕っ節の強さで勝利をもぎ取って来たし、だからこそ僕たち観客はブレイド=スナイプスのことを番長と呼んで尊敬していたのです。最後の一押しを他者に頼るのはいいですが、その一歩手前の状態までは何とか自力で追い込んで欲しかったです。しかもこのラストバトルにおけるブレイドはいつも通り上着を脱いだ本気モードで挑んではいるものの、ノースリーブの戦闘服の下に真っ赤な長袖のシャツを着ているため、これまでに見れた説得力のある腕の筋肉を披露することができていませんでした。真っ黒の衣装に赤を入れたのはカッコ良かったのですが、最後のこのシーンの服装だけはどうしても納得できませんでしたね😓

本作から登場した様々な武器が軒並みカッコ良かったり、ホームレスを集めてヴァンパイア専用の血を生産する工場を作るというアイデアが残酷で面白かったり、敵幹部にWWEスーパースターのトリプルHがいて興奮したり、その吹き替えを蝶野正洋が結構上手い具合に演じていて興味深かったりと、見所がなかったとは言いません。しかし、このスナイプス史上最高傑作シリーズにおける締め括りがこのザマだったということに対して、深い哀しみを抱いている状態です。なのであまり他の方にオススメする気にもなれませんでした…🙇‍♂️