特濃ミルク

哀れなるものたちの特濃ミルクのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

 幻想的な世界観に、オデュッセイアのような古典的ストーリー展開…そこに女性への抑圧や貧困、暴力による支配など、現代社会における問題や「悪」をふんだんに盛り込んだ作品。想像していたよりも主義主張は分かりやすかった。
 色んな角度から語れるとは思うけど、とりあえず真っ先に思った事は…エマストーン…なんっっかいセ○クスすんねん!!!!ダンカン(馬鹿野郎)と船出してからほとんどのシーンでセ○クスしてたんじゃないか。さすがR18という感じだ。
 …まああれだけセ○クスしていたのも、ベラが閉鎖的な空間で、社会の偏見や宗教の毒(女性はお淑やかに!汝姦淫するなかれ。とか)に染まらずに育ったという背景があることや、抑圧されてきた女性の解放を表現するためもあって、きっとああするしか無かったんだろうな。…個人的には、性的に奔放になればそれが女性の解放になるだなんて短絡的な考え方は受け入れられないけども…とにかくそのシーンの意図は明確であり、終始見ているこっちが気持ちよくなるくらいセ○クスしていたなぁという感じだ。
 あとは抑圧や歪んだ認識、偏見を表現する手法として(だと思う)、やたらと魚眼レンズや隠し撮り風カメラを多用していたなぁという印象がある。特に視野が狭くなる隠し撮りカメラはすごく窮屈な感じで、抑圧された女性というコンセプトにピッタリじゃん、と思ったけど、ただ使ってみたかっただけなのかもしれない。
 ラスボスの旦那は凄かったなぁ。絶対的な暴力によって周りの人間を支配し、平伏させることだけに生きがいを見出すような、まさに最悪の「父親」、いや正真正銘の悪魔という感じ。ここにおいては言わずもがな、罪もない人を殺し続けて領土の拡大を目論む、プーさんのような世界の指導者たちを念頭に置いていると思われる。結局ああいうやつが一番悪いのよ。
 ラストシーンではてっきりベラは暴力を否定して、赦しを与える展開になるか、ゴッドの脳を移植するかと思いきや…まさかのウルトラバイオレンス笑。まあ実際の戦争犯罪者たちにはあれぐらいやればいいのにな。何よりも大事な、国粋的な、名誉(笑)も何もかも失って生き恥を晒せばいい。結局は何とも言えない後味だったんだけど…やるならあれぐらい徹底的にやらんとね。
ほんで一杯勉強して、世界の不幸も全部見て、色んな事経験して、一歩ずつ進歩しなきゃね。
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