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名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊のHKのレビュー・感想・評価

3.4
これまでなんだかんだケチをつけていながら、結局シリーズ3作目も劇場鑑賞。
『オリエント急行殺人事件』や『ナイル殺人事件』のように知名度が高くないので、今回はご丁寧に “名探偵ポワロ”と邦題の頭についています。コナンみたいですが。

原題は“A Haunting in Venice”で、あの“The Haunted Mnsion(ホーンテッドマンション)”と同じHaunt(出没する=幽霊が出る)ですから今回はホラー寄りだとわかります。
本作、実はアガサ・クリスティの同名の原作は存在せず、ストーリーは長編ミステリの『ハロウィーン・パーティー』と短編の『最後の降霊会』(クリスティには珍しい怪奇短編集の一話)をくっつけてアレンジした内容なんだとか。

前2作でケネス・ブラナーがポワロのキャラを原作に寄せる気が全く無いことはわかったし、ストーリーの方も原作から離れようと大幅改竄しようともはや驚きません。
『オリエント~』も『ナイル~』も本シリーズより旧作の方が面白かった私としては、むしろその方が今回からはキッパリ別人の別のお話と割り切って楽しめるというものです。

ちなみに元となった上記小説の舞台はイギリスとフランスで、ベニスは映画独自の設定。
相変わらず体格の良いブラナーのムッシュ・ポワロは今回も体を張っての活躍ぶり。
また、この手のシリーズのお約束ですが、回を重ねるごとにオールスターのランクが落ちてきて、今回私が知ってる役者はポワロの他には怪しい霊媒師のミシェル・ヨーだけ。
しかも、この二人の対決がメインかと思いきや・・・

ポワロのシリーズなのに今回は金田一風のオドロオドロしさがあるのはちょっと新鮮。
私はもともと推理小説よりも怪奇幻想小説の方が好きなので超自然要素は大歓迎。
いっそインディ・ジョ-ンズ並みにホラーやSF色がもっと強めでも構わないくらいですが、さすがにそこまで振り切るわけもなく、やはり中途半端に感じたのは残念。

理詰めのポワロが超常現象に悩まされる設定は面白いものの、どうも詰めがもうひとつ。
ドヤ顔のポワロが全ての怪現象のトリックを解明するという、私にとって最悪の展開よりはマシでしたが、本当に霊が見える少年のキャラなんかはもっと活かせたはずだし、上手くやればミステリとオカルトのいいとこ取りができたのに惜しいところ。
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