レインウォッチャー

ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズのレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

3.0
🐻※原作ゲーム無知勢です※🐰

近頃のブラムハウスは、『グレムリン』と『SAW』の間くらいに位置する「図書室のこわいはなしの棚に置けるホラー」的ラインを意識的につくろうとしてるのかnya、と思ってる。要するに、中高生の友達連れやカップル向けのキャッキャムービーだ。

そんな『ブラック・フォン』や『M3GAN』あたりから続く流れに、今作も乗るものと考えて良さそう。いっそブランド名も分けたら?(プラムハウスとか、βラムハウスとか)と思ったりもするのだけれど、いかがでしょーか。

ホラーやグロっぽいシーンはあって一定ドキドキできる一方で、実は決定的な描写はうまく避けている。見せてるようで見せていない、スカートの下のペチパンのような脱法映画でレーティングとの間合い合戦を繰り広げているのである。

若い世代に限らず映画館離れとか言われて久しいけれど、気軽なエンターテインメント施設としてのニーズはまだまだあるんじゃあないだろうか。
薄暗い空間に一定時間閉じ込められる「だけ」で、手軽に体験を共有できる。映画が気に入ろうとそうでなかろうと、同行者との親密度を上げるきっかけにはなるだろうし、十代はじめ〜中頃の子たちにとってはそれが何より大事なことだ。(エモ消費なんて言葉も出てきている)

『M3GAN』では事前にダンスミームをバズらせたり、今作は人気ゲーム原作という話題性だったり着ぐるみキラーマシンちゃんたちのキモカワさ(ひよこのチカが好きです)だったりと「キャラ萌え」的な話題作りの仕込みを行って、キャラクターグリーティングアトラクション的な趣向も醸す試みが窺える。
完全に未知の体験というよりは、既知のお目当てがあるからこそ気軽に繰り返し劇場へ誘導しやすい面もあるだろう。そういった意味で、映画館の遊園地化…というかもともと持っていたレジャー施設的な側面をうまく復活させようとしているのかも。

ストーリーの面でも、自然と少年少女たちが中心となり、家庭問題や大人との戦い(または協調)がテーマになってくる。思い出してみれば、『ブラック・フォン』『M3GAN』そして今作と、どれも最後に「キメる」のは子供だ。大人(親)目線だと物足りないところがあったとしても、子供目線だとしっかり完結しているのである。

ここらでお気づきの諸兄諸姉もいらっしゃるかと思うのだけれど、映画本編の話をほとんどしていない。
白状すると、あんまり長も短も書くことがないんだよな…原作ゲームはミリしらなので、ファンサ的な面の満足度は語れないし。えっと、早見沙織ナレーションの日本版予告がピークでした。(※1)

ただ、すくなくとも本国では実際にヒットしているみたいだし、上述したような仮説がもし一部でも当たっているのであれば映画の未来のためにも価値がある(※2)ことだと思うので、ぜひ続けていただきたいと思う。

わたしが観た平日夜の回でも、高校生か大学生くらいのカップルやガールズが多く入っていた印象。
え?わたし?…そりゃあ当然、フフ、フレディと観ましたよ。(それではお聴きください、『涙のイマジナリー』。)

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※1:なのにどうして『字幕版』だけなのよォオオオ〜ッ!!

※2:今作のようなラインをきっかけに、将来的にもっと上のレートのブラムハウス作品のファンになってくれたり、とかいう生涯バリューの拡張性がある。たとえば、今作含め続編も作りやすいジャンルだと思うのだけれど、観た人と一緒にレーティングも成長していく、みたいなシリーズが作れたりするとおもしろいかもしれない。

最近のJホラー界隈でも●●村系や都市伝説系といった作品群には近い可能性を感じたりはするけれど、鑑賞前後の工夫がどれだけ作られてるか、にかかる気がする。