スカポンタンバイク

怪物の木こりのスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

怪物の木こり(2023年製作の映画)
3.7
訳あって亀梨和也の出ている映画には可能な限り行くという天啓を受けているため、本命を次の日にして、公開日に本作を鑑賞。

面白かったですね。
勿論、言いたいことは色々あるけれど、亀梨和也映画としてはベストだし、亀梨和也のベストアクトなんじゃないかと思う。全く関係ないが、「死刑にいたる病」の阿部サダヲが亀梨に似てるなぁと思っていて、亀梨もこういう役やったらハマるんじゃないかなぁって思ってた所にドンピシャのものがきたって感じ。ジャニーズ問題が色々ホットな時期だけれど、この亀梨和也が日本アカデミー賞とかで主演男優賞入らないのは嘘だと思う。それくらい、外面だけ人間の空っぽな感じがめちゃくちゃ出ていて良かった。というか、この映画におけるサイコパス要素(このサイコパスって言葉を使うのもげんなりする感じだが)の9割近くは、亀梨和也の演技におんぶに抱っこで、そこにちゃんと応えた亀梨和也は偉いし、真面目だなぁって思った。

まぁ、結局の所、褒める所は亀梨和也の演技くらいなもんで。他は引っ掛かりばかりなのだが。
まず、一番引っ掛かるのは、やたら皆「サイコパス」って言葉が好き過ぎる問題。予告でもこれはげんなりだったのだが、覚えたての言葉を何度も言いたい子供か!って感じ。しかも、話がかなりバカSFな内容で、そこでも「人為的にサイコパスを作る」だのと。そこはもっとバカなりに、「新人類を作る実験」みたいな伊藤計劃とか小島秀夫とか好きそうな人たちに響く表現が色々あっただろうに。ちょっとした違いなんでしょうが、このサイコパス連呼は心底ダサいなぁと思った。
次に、これが一番問題だと思っているのが、この映画におけるサイコパスが快楽をもって人殺しをするシーンが1つもないという事。この映画におけるサイコパスの定義からすると、そのシーンは絶対あるべきなのに、亀梨含め誰1人快楽殺人を行わない。文脈的には亀梨には絶対やらせるべきだった。どっかからNGがかかってるとかあるのか知らないけど、それで亀梨の魅力が下がったりしないし、それをやるだけの技量亀梨にはあるなぁって今作を観て思えた。だから、やらせるべきだったし、寧ろその亀梨を観て「私も殺されたい!」って叫ぶ熱狂的ハイフンが増える可能性の方が高いのではないだろうか?それで作品はもっと良くなるんだから、良い事しかないじゃん。ほんと、誰か知らないですが考え直してください。
最後に、これは不満ってよりモヤっとした所なのだが、今作はやたら近年の韓国映画っぽい絵作りがされている。これに関しては、物は言いようで、オマージュと言われればそれまでなのだが、にしても近年のポン・ジュノとかパク・チャヌクとかをまんまやってる感が強く、あやかってる感が凄くて臭かった。

文章にすると、不満要素の方が強くなるのだが、映画としては楽しく観たし、亀梨和也を堪能するという事でもかなり良いんじゃないかと思いました。是非、みんなも見よう。