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ヒッチコックの映画術のsymaxのレビュー・感想・評価

ヒッチコックの映画術(2022年製作の映画)
3.6
映画は"ペテン"なのだ…そして映画史に燦然と輝く"ペテン師"が…そう、その名前は…"アルフレッド・ヒッチコック"…

自らを"トリック・スター"と呼ぶヒッチコックが"ペテン"のトリックを章立てて語る…

観客をからかう為に駆使されたその"ペテン"は、そうそう分かるはずもなく、数々のヒッチコック作品の名場面の意図をヒッチコック本人が語ることによって、"あ〜なる程"となるドキュメンタリー…

邦題が"映画術"となっているので、細かな演出のテクニックが語られていると思われがちですが、技術的な事より、ヒッチコックのペテン師としての哲学が語られているように感じまして…そうなると原題の"My Name Is Alfred Hitchcock"の方がしっくりくるのですが…

ヒッチコックは、裏方としてよりも自らが前面に出て、語りたがりで、語られたがりな目立ちたがり屋…あの独特な風貌と語り口がともすれば傲慢と取られがちではありますが…特に最後の"高さ"に関する語りは、非常に興味深く、ヒッチコックによる演出の素晴らしさを再確認しつつも、自らの"全知全能の神"的立ち位置を誇らしげに語る姿が垣間見え、中々面白い構成でしたというところで、エンド・クレジットでのネタばらし…人を喰ったようなドキュメンタリーを作ったマーク・カズンズ監督に感心しまくりなのでした。
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