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ナポレオンのbeans045のレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
3.5
革命精神の輸出の矛盾


フランス革命によって圧政から解放されたフランス市民が求めたのは皇帝だった。自由、平等、博愛の革命精神を謳いながら他国にその価値観を強要するというありがた迷惑。王政の残るヨーロッパ諸国からしたら、そんな精神なんて要らないし、内政干渉甚だしい上に、革命を謳ってるのに自らが皇帝になってしまう矛盾。めっぽう戦いに強いが家庭では奥様に弱かったというギャップは面白かった。戦いのシーンはとてもリアルで、グロテスクと感じるほどだった。しかし、あんな承認欲求の強い人が上司だったらイヤだなぁと感じた。自分の立身出世をジョセフィーヌに認めてもらいたいナポレオンと、自分の存在がナポレオンを高めていると説き伏せるジョセフィーヌの屈折した関係が印象的立った。他の人に産ませた子どもを最愛のジョセフィーヌに見せに行くってどういう神経してるんだ?とツッコまずにはいられなかった。革命なった後もヨーロッパの上流階級は出生や家柄にやはりこだわるんだなぁと感じたし、今もそうなのかなと思う。ナポレオンもコルシカ島の盗賊と揶揄されてしまうのだから、日本で言うと豊臣秀吉みたいな存在なのだろうか。ナポレオンが市民の皇帝であり、フランス国民から人気があったんだと感じたのは、エルバ島脱出後に銃口を向けた兵士が味方になったシーンだった。当時のフランスの市民はナポレオンに何を求めていたんだろう。
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