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スターリングラードのbeans045のレビュー・感想・評価

スターリングラード(2000年製作の映画)
3.0
ロシアン・スナイパー


独ソ戦において、両軍の壮絶な戦いの舞台となったスターリングラード(現ボルゴグラード)で、士気高揚のためにソ連の救国の英雄に仕立てられた狙撃手のヴァシリ・ザイツェフと、そのライバルであるナチス・ドイツのケーニッヒの息詰まる銃撃戦が描かれた戦争映画。
ソ連は督戦隊と呼ばれる人たちが前線部隊を鼓舞することを目的に配置されていたというのを過去に知っていたが、武器の無い脱走する味方の兵に向かって後ろから銃弾の雨嵐を浴びせて、戦わせていたんだということが冒頭から画面いっぱいに。味方が無防備な味方を後ろから撃つなんて、普通では考えられないよなぁと感じた。これも戦争の狂気がなせるのかと思った。敵からも味方からも四方八方から銃弾、砲弾が飛び交う中で、狙撃手として頭角を現し始めるヴァシリ・ザイツェフと、それを祖国を救う英雄として祀り上げようとするダニロフ。二人は徐々に協力しながら部隊での役割が増していくのだが、そこにナチス・ドイツからスターリングラードに送り込まれたライバルとなる狙撃手のケーニッヒ。ヒリヒリとする銃撃戦が展開されていく。
祖国防衛のため左翼のプロパガンダとして祀り上げられたものの、作り上げられた偶像と自分自身の乖離にヴァシリ本人の悩みを大きくなっていく。任務遂行には感情を押す必要がある反面、そういった葛藤を抱えるところは人間味があるなと感じた。
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