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サンザシの樹の下でのbeans045のレビュー・感想・評価

サンザシの樹の下で(2010年製作の映画)
3.5
純愛

チャン・イーモウ監督×初恋=涙腺崩壊。
難しい時代に生きた階級を越えた中国の人たちの初恋と純愛の物語。25歳まで恋愛はダメという文化大革命の中の価値観で生きた人たちの、思いやる気持ちや自分の気持ちの伝え方がとても純粋でいて、その回りくどさが切なかった。「静秋よ」と、病院で変わり果てた姿となった孫に何度も叫ぶヒロインの姿は、焼き付いて離れない。更にダメ押しとなる、病院の天井に貼られた二人の思い出の写真。このダブルパンチで涙腺が完全に崩壊。
文化大革命時、価値観の多様性は無く、男女間の自由な恋愛などもってのほかで、父親が右派で労働改造所に送られ、母親との暮らしで生活の苦しく地方に下放された静秋と、共産党幹部の息子で地質研究員として働く孫が階級を越え、惹かれ合い、仲を深めていくが、当時の価値観に従っているところが慎ましく思えた。そんな中でも、自分の気持ちを伝えるために、セメントの作業で足を痛めている静秋に新品の長靴を買って来たり、とても誠実。「25歳まで恋愛は禁止」という静秋の母親の言い付けを守り会うことをやめる孫は真面目で、病気と聞いていても立ってもいられなくなって、孫が検査入院している病院に駆け付けた静秋の衝動的な行動を取るところとは、対照的だった。検査入院では会えたけど、次に会った時には、孫は変わり果てて、会いたいときに会えないというのは、時代が変わっても、つらいなと感じた。
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