カツマ

ハロウィン・キラー!のカツマのレビュー・感想・評価

ハロウィン・キラー!(2023年製作の映画)
4.0
血塗られた道化の祭り。惨劇はいつしか過去のものとなり、殺人鬼は殺意の残滓を残して消えたはずだった。だが、狂気の宴は終わらない。長い長い時を経て、再び悪鬼は蘇り、恐怖の刃を突き立てる。まさかまさかの愛する人を救うため、主人公は時空を越える旅に出る。そう、それしか方法はない。謎は全て過去の中に隠されているのだから。

ブラムハウスが送るアマプラ配信映画がハロウィン月に合わせて配信開始!『スクリーム』や『ファイナル・ガールズ』のプロットを借り受け、そこに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』的な要素をドッキング。80年代のレトロな風味を全体から漲らせ、往年のホラー映画への憧憬を全く隠そうとしないテイストはもはや潔いほどのレベルである。タイムトラベルした女子高生は過去の殺人を止めることができるのか!?ムチャクチャな設定ながら、力技で楽しませてくれる強烈なエンタメ性を堪能してほしい作品だ。

〜あらすじ〜

1987年、ハロウィンの時期に三人の女子高生が続けて殺されるという事件が起きた。被害者が全員16歳だったことから、犯人はスイート16キラーの名で呼ばれ、捕まることはなく35年の月日が経った。
現在。16歳になったジェイミーはハロウィンに出かけようとするも、母は35年前の惨劇を未だに引きずっており、ジェイミーに過剰とも言える注意喚起をして送り出した。母親のパムはかつて殺された三人の被害者の友人で、人一倍事件との関わりは強かった。
そして、ハロウィンの夜。再び惨劇は起こってしまう。殺人鬼の標的は16歳のジェイミーではなく、母親のパム。パムは持ち前の護身術で犯人に立ち向かうも無惨にも刺殺され、ジェイミーは悲しみの海に沈んだ。
悲しみに暮れる間も無く、場所を変えて殺人鬼はジェイミーを標的にして襲いかかる。ジェイミーは、偶然、友人のアメリアが試作したタイムマシンに隠れたところ、何と、タイムマシンが作動して彼女は1987年に飛んでいた・・。

〜見どころと感想〜

デジャヴ感満載のホラー祭りがここに登場!プロットは引用元のオンパレードだが、『スクリーム』再評価の波が来ている今だからこそ、この手のレトロホラー作品の映画愛に気付くことができるだろう。劇中でも『スクリーム』のもろネタバレをしていたりするので、『スクリーム』初作を未鑑賞の方は要注意!展開もかなり似ているので、『スクリーム』が好きな人なら間違いなく楽しめる作品かと思う。

主演のキーナン・シプカは子役時代から映画に出演してきた20代前半の若手俳優で、テレビドラマ『マッドメン』が代表作品のようである。ただ、映画、ドラマと幅広く活動しており、ビジュアル的にもホラー映画との相性も抜群。まだまだこれから多くの作品で彼女の姿を見ることができそうだ。同じく若手のオリヴィア・ホルトは『ステータス・アップデート』のヒロイン役が印象的。彼女もドラマへの出演が多く、このキーナン、オリヴィアの若手共演が今作の一つの見どころかと思う。

『ファイナル・ガールズ』に非常にプロットが似ており、このパクリ映画め!と思わせるもそれだけでは終わらない!そう、パクり方はもっと大胆で、もっと多様で、もっとダイレクトである。ただ、『ファイナル・ガールズ』が『13日の金曜日』など70〜80年代ホラーを元ネタにしているのとは異なり、今作の元ネタは90年代ホラーと少しだけ新しい。タイムトラベル要素も含めると80年代臭も強く、それはサウンドトラックが80年代ニューウェーブなどを母体としていることからも察せられる。

そして、この手の仮面クリーチャーものは確実に犯人が登場人物の中にいるのも楽しい。主人公は現代に帰れるのか?母親を助けることができるのか?なんでもアリだからこそ面白い。あぁ、これを観たらまた『スクリーム』が観たくなってしまったのでした。

〜あとがき〜

自分のホラー映画初体験は『スクリーム』。なので、どうしたってこの手の映画は好きなんですよね。『スクリーム』とか『ファイナル・ガールズ』とか『ハッピーデスデイ』とかあのあたりにめっちゃ似てます。が、似てても面白いのでこの点数です笑

あとは80年代とのギャップとか上手いことコメディタッチで描かれてましたね。DNA鑑定とか80年代にはなかったんだなぁとかしみじみ感じながら今昔物語としても楽しむことができました。
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