ひろぽん

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦のひろぽんのレビュー・感想・評価

4.7
春の高校バレー宮城県代表決定戦、春高初戦と、強敵を次々と倒す中で進化を遂げた鳥野高校は、春高2回戦で優勝候補の稲荷崎高校を下す。そして、3回戦で、因縁のライバル校である音駒高校と対戦する事となる。幾度となく練習試合を重ねても、公式戦で一度も交わる事がなかった両校。烏野高校VS音駒高校の通称「ゴミ捨て場の決戦」が約束の地で、「もう一回」が無い試合が始まる。


原作は未読だが、アニメの『ハイキュー!! TO THE TOP』までは鑑賞済み。

“飛べ”を掲げ超攻撃型のプレースタイルで空中戦を得意とする烏野高校VS“繋ぐ”をモットーにした超守備型のプレースタイルの音駒高校。通称「ゴミ捨て場の決戦」と呼ばれる烏と猫に例えられる両校の白熱した試合が繰り広げられるストーリー。

公園で日向と研磨の偶然の出会いから始まる冒頭から手に汗を握り、胸の鼓動と共に感じられる興奮と高揚感がたまらない。

ジャケ写もそうだが烏と猫の対立するような構図の描写が強調されている。

純粋無垢でバレーを心の底から楽しむ日向と、バレーはそこまで好きじゃないが何となく続けている研磨。光と影、表と裏のような関係性の対照的な2人だが、試合前にメールをする仲睦まじい光景がほっこりする。

試合と試合の合間に過去の回想シーンを挟んで物語が進行していく構成。それぞれが様々な思いを胸に絶対に負けられない戦いに望んでいく姿は胸が高鳴るほど格好良い。

主役は日向というより研磨であり、研磨視点で過去の思い出が色濃く描かれる。研磨にバレーを教えた幼なじみのクロとの幼少期の思い出がとても素敵で、それが描かれるからこそ試合の中での2人の絡みが感動的なものになっていた。


烏野高校と音駒高校の両校の魅力を伝える試合の見せ場からワクワクが止まらない。

前半は音駒高校のブレインである戦略家の研磨の作戦が功を奏し、次々と技が決まり日向が封じられフラストレーションが溜まりに溜まってどんよりとした不穏な空気感が心地よくなかった。普段は明るい日向の活躍が相手の作戦により全くなかったのも印象的。

冷静に策を講じて日向封じをすることによって試合を完全に支配していた研磨と、何度でも飛ぶ日向の構図が面白かった。

影山のオープントスから再び輝き始める日向の姿がとても眩しくて最高にカッコ良かった。

ラストの研磨視点での映像は、映像作品ならではの魅力が詰まっており、実際にセッターとしてコートに立ち試合をしているような臨場感があって最高だった。

トス回しのセンスと精度がずば抜けて高く、圧倒的な威力を放つジャンプサーブもできるアタッカーとしても優秀なセッターの影山。無駄な体力を使わず、ゲーム攻略のように相手の弱点を突く戦術が得意な頭脳派の研磨。同じセッターとしても完全にタイプの違う2人が対峙する試合は面白かった。技術では影山の方が圧倒的に上なのに、頭脳で試合を掌握して影山を唸らせる研磨の実力も本当に凄い。

“翔陽 面白いままで居てね”と言い放つ研磨の表情が本当に怖かった。この言葉に答えていくように輝きを失わない日向はやっぱり面白い。


何よりも「バレーにハマる瞬間」を味わった月島が以前よりも楽しそうにバレーをしている姿にウルっと来てしまった。クロとの師弟関係の絡みも熱い。

烏野と音駒の因縁の対決、日向と研磨の勝負、月島と黒尾の師弟対決、同じポジション同士での勝負、自分自身との戦い、あらゆる対決と強い思いをぶつけ合い、熱い友情を感じられる85分がとても濃厚な時間で、どの瞬間も最高なものだった。

“小さな巨人”の登場するラスト
続編も楽しみ。

もう一度人生をやり直せるのなら高校でバレー部に入って春高目指したいなと思うくらいバレーの魅力が伝わってくる素敵な作品だと思う。登場キャラ敵味方関係なしに全員応援したくなるし、悪いやつが1人もいなくて魅力的だからこそ『ハイキュー!!』が好きだ。
ひろぽん

ひろぽん