ひろぽん

タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツらのひろぽんのレビュー・感想・評価

4.3
休暇を過ごすべく山小屋の別荘を購入した2人の中年男のタッカー&デイル。風貌の悪さと妙な偶然が重なり、キャンプに来ていた大学生の若者8人に殺人鬼だと勘違いされてしまう。偶然に偶然が重なり誤解が誤解を生み、次々と死亡していくスプラッターコメディ。


山奥に念願の別荘を購入し、休暇で別荘の修理と釣りを楽しんでいるタッカーとデイル。そこに、大学生の若者たちがキャンプ目的で訪れていた。夜の湖で頭を打ち溺れた女子大生のアリソンを助けたタッカーとデイルが殺人鬼と間違えられてしまい、誤解が誤解を生み、次々と死人が出るという奇妙な事件が発生してしまうお話。

大学生たちの行動が次から次へと裏目に出て、自滅して死んでいく姿が滑稽で面白い。こんなにも人が死んでいくことが面白い話はないかもしれない。1人また1人と死んでいく中で、次はどんな死に方をしていくのかを考え、期待しながら観るのが最高。

走って木が突き刺さる奴、ウッドチッパーにダイブする奴、拳銃の安全装置を外そうとして自分を撃ち抜いた奴etc.....
タッカーとデイル視点からすると大学生たちの集団自殺にしか見えなくて怖すぎる。

チェンソーで蜂の巣を切ってしまい、蜂に追われながらチェンソーを振り回して大学生の方へ向かっていくタッカーの姿はサイコキラーにしか見えなくて怖いはずなのに、演出の効果で面白く見えてしまう。不運にもタッカーとデイルの会話の内容が、大学生たちが聞いている時に勘違いしそうな事しか言ってなくて笑った。

殺人鬼VS大学生集団自殺という構図で奇跡的にもすれ違い続ける光景は、アンジャッシュの盛大なすれ違いコントを見ているかの様だった。

タッカーとデイルの幼馴染コンビの幼少期からの友情、自己肯定感の低いデイルの成長と自己実現、非モテ男デイルの恋愛、グロが苦手な人でも見れる軽いスプラッター、ホラーの様な雰囲気をしているが全く怖くないコメディ等、様々な要素が詰まっている。

過去にあった凶悪殺人事件の話や喘息持ちのチャドの吸引器などの伏線が見事綺麗に回収される。心理学専攻の大学生という設定も最大限生かされているのが良かった。終盤までタッカーとデイルが死ぬかもしれないというハラハラドキドキが止まらない。

デイルは勇気を出して自身や恋愛に踏み込んで明るい未来に繋がるが、タッカーは蜂に刺されたり吊るされたり指切られたりと本当に災難しか起こってなくて不憫すぎる。

唯一人を見た目ではなく中身で判断したアリソンは、容姿だけでなく心も綺麗な女性だった。

「人の本質は見た目とは違う」というテーマが込められており、外見の印象で判断してはいけないんだと思った。

様々な要素が盛り沢山で88分という短い時間で気軽に楽しむことのできる最高のB級作品。
ひろぽん

ひろぽん