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アメリカン・フィクションのBATIのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.4
HBOで「ウォッチメン」やってたコード・ジェファーソンの脚本かつ初監督作品ということでなるほどという話だが理が勝ちすぎてる作品なのは間違いない。こういうのだったら私は断然ジョーダン・ピールみたいに「映画」をやってる作家の方が好きなんだけど、そのピールの作家性すら批判する内容になっていて、「商品」としての人種性に言及しながら劇内で「So what?(だから何?)」って言われてるまんまの映画だと思うんだよな...。

まぁでもその個人のナラティブないしテーマよりも売れる/バズるもの、それが「黒人」ないし商品としてティピカルなパッケージのものとして売られる、「物語」を欲してしまう時代というのは描いていたな(こういう映画本当に今多い。みんなウンザリしているのがわかる)。で、この映画の終盤同様のある台詞と同じ終わり方をすることがコード・ジェファーソンの矜持とまでは言わないが「物語であることを拒否する」のかもしれない。けど、色々汲み取らないといけない映画なので、まあまあ面白いし悪くはないけどやっぱりキレがなくて好みではない。

映画観ているというよりドラマ観てる感じになるのは撮り方がそうだから。最後まで観たらまあまぁ面白かった。それでもアルトマンくらい編集も撮影もキレッキレだといいんだけど、そういうのも最早野暮ったいのだろうか。食えない話をヴィヴィッドに撮っても、というのなら分かる。その辺の劇の深度と演出の深度が合ってるのかよく分からなかった。マジになりすぎてもダメなんだけど。うーん、やっぱり微妙なシーンについては映さないで想像させる、話術でグルーヴしていくアーロン・ソーキンさが必要だったんじゃないかな。あと、スコアはあえて黒人音楽っぽいセレクトにしてるんだけど、スベってるように感じるのは私だけかなぁ。
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