ぴよまろ

アメリカン・フィクションのぴよまろのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.5
黒人作家である主人公が、ヤケになって書いたステレオタイプの黒人小説がベストセラーとなり、作品性と大衆の求めるものの狭間で戸惑う風刺コメディ作品。

高尚な小説か大衆の求める小説か、風刺をまじえて問題提起する作品でした。ありきたりでステレオタイプな黒人小説ではなく、人種だなんだより人間の物語を書きたいと思いつつ、売れる作品は前者。あまつさえ、それもアカデミー賞「らしい」リアルな作品というのが皮肉になっていて面白い。

絶対正義多様性になっている現在のアメリカエンタメ界に皮肉をこめた作品が、そのアカデミー脚色賞をとってしまうのだから、何重にも皮肉がきいています。

本作で言いたいことが全て最後の3つの結末に詰まっているのが面白く、そのどれでもない道を実際のモンクが歩んでいくのだろうと思わせるラストも痛快でした。主人公モンクのキャラが少し気難しくも、憎めないキャラだからこその納得感です。

風刺作品ですが、かなりマイルドに優しい雰囲気のため、見やすい作品でした。
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