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オッペンハイマーのぴよまろのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.9
クリストファー・ノーラン監督作品。原爆の父であるロバート・オッペンハイマーの栄光と罪を、聴聞会と公聴会の法廷劇を通じて描いた作品。

物語はもちろん、映像的にも音響的にも情報が多く、あらゆる方向からオッペンハイマーの原爆を作った栄光と罪を描いた作品でした。思ったよりもエンタメ映画「ではない」ですが、終盤のオッペンハイマーとストローズの対立と、科学者たちの結びつきが示されるあたり、映画を楽しませてくれるさすがのノーラン作品でした。

特に「音」の演出が飛び抜けていて、冒頭から繰り返されるドンドンという音の正体には驚かされました。また、祝賀会での拍手喝采を爆発音のように使い、歓喜の涙を悲しみの涙のように見せ、オッペンハイマーの罪を表現したことには大いに心にくるものがありました。ノーラン監督じゃないとできないですこれは。

時が異なるオッペンハイマー視点とストローズ視点が繰り返されるので、とにかく情報量が多い作品ですが、オッペンハイマーVSストローズ、科学者VS政治、原爆VS水爆など、複数の対立軸が散りばめられているので、物語を見失うことはなかったです。トリニティ実験の栄光、聴聞会による罰、そして最後にアインシュタインの許しの言葉で幕が降りるストーリー展開は、さすがの時系列シャッフルです。

情報量は多いですが、そのクオリティの高さでしっかり楽しめる作品でした。
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