ぴよまろ

セッションのぴよまろのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.1
偉大なジャズドラマーを目指している主人公が、名高い教授だが教え方が苛烈な指導者のもと、ドラマーとして成長していく物語。

100分程度と意外とコンパクトでシンプル、そして最後の10分の狂気と熱量が込められた作品。なんといっても鬼教官フレッチャーの鬼っぷりと、ラストシーンの表情が素晴らしかったです。この作品をデミアン・チャゼル監督が当時弱冠28歳で作ったことが信じられない。

歪んでいるけれど、主人公ニーマンと鬼教官フレッチャーは間違いなく師匠と弟子であり、狂気の音楽の世界で「シンバルを投げつけられたから伝説になった」を体現していました。彼らにとってのシンバルは、お互いに対する復讐心でしたが、それを音楽という土俵でぶつかり合った結果が、良い意味で期待を裏切られました。

フレッチャーの一挙手一投足に緊張感があり、どう落としどころをつけるのかが分からずでしたが、最後の彼の表情は、主人公ニーマンを認めたくないが音楽は素晴らしい、さっきまで「殺してやる」と言わんばかりだったのが「大丈夫だ、続けろ」と表情で語る姿が最高でした。(倒れかけたシンバルをフレッチャーが支えるシーンが素敵です。散々大暴れしてきた鬼教官が「支える」とは。)

必要最低限で言いたいメッセージの込められた、熱量の高い作品でした。

個人的ですが吹奏楽経験があるので、しばしば胸が締め付けられる緊張感でしたが、最後のシーンで救われました。
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