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サンクスギビングのドントのレビュー・感想・評価

サンクスギビング(2023年製作の映画)
3.5
 2023年。いや~ありがたいなぁ~。感謝祭で賑わう田舎町で当日に特大セールを開催したスーパーにて暴動・乱闘が起き死傷者が多数発生。一年後、暴動をヤベー超ヤベーと実況配信していた学生どものインスタに「晩餐への招待」なる写真が送られ、店にいた奴らが一人また一人と無残に殺されていく……
 ちぎれたり剥がれたり、モゲたりブシャーッってなったり、ゴロンとしたりザクッってなったりゴーッとなったりする。令和にこういうストレートなアイコン的殺人鬼・スプラッタ映画が新作として観れるというのはありがたいと感じた。スマホや配信など現代のテイストは忘れていないが、核としては80年代的な残忍殺人鬼ホラーである。基本的にアホしかいないし、筋肉クソ野郎やセクシーをやろうとする姉ちゃんはきちんと死んだりする。
 冒頭の大乱闘inスーパーの愚民どもの醜さが実に素晴らしい。あぁ人類はとても救いがないなぁ度しがたいなぁとニコニコしながら観てしまう。その後も適宜、臓物が出たり首がモゲたりして賑やかしつつ、クソバカ学生がヤンヤヤンヤやりながら、適度なフーダニット(犯人は誰か)を伴って映画は進んでいく。映画全体がこう、ちょうどいいぬるま湯で、心身がほぐれるような気持ちになっていく。こういう実家近くの定食屋みたいな味わいは嬉しいし、今も昔も変わらない安心感がある。人は無惨に死ぬ。
 一方でイーライ・ロスという人はすごく生真面目な監督であり、「よしっ、80年代っぽい雑なスラッシャー映画を作るぞっ。人が死ぬぞっ。犯人探しも混ぜよう!」というサービス精神を全編に感じて実際それはありがたいのだけれど、その意識の高さが若干、映画の流れを阻害している。この内容ならそら一丁!ってなもんで90分でいけるはずだ。映画とはなかなか難しいものである。
 とは言え適宜ちぎれたり剥げたり(以下略)してくれて楽しいし、あるべきものがあらかた揃っていて、雑味や思想がないエンタメであり、頭から終わりまで無邪気に楽しめる一本なのであった。いや~こういう映画はありがたいなぁ~。エッチなシーンやヌードはないので、カップルやご家族でもご覧いただけます。人は無惨に死ぬ。
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