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呪い村 436のドントのレビュー・感想・評価

呪い村 436(2006年製作の映画)
3.5
 2006年。イエス! ザ・因習村! おもしろかった。国勢調査のために田舎の村「ロックウェル・フォールズ」にやって来た職員の男。数日滞在するだけなのに「いやぁようこそようこそ」「仲良くやっていきましょう」「お前は二度とここから出られない」などとやけに手厚い歓迎を受けて戸惑っているとヤベェ場所だとわかってくるホラー。
 お安く見える邦題よりも原題の方がネタバレ度が大きいという稀有な作品で、というか「ようこそ!」と書いてある村の看板からしてバレ上等なわけであるが、そこは別に映画のトロの部分ではない。うっすらと漂う不穏とか、「熱病」の患者を治療している村の病院とか、コレをアレするために連中がどういうことをしているかとか、そういう厭な感じを味わう作品なのだと思う。ヒネりもスカしもない、正調の因習村ムービーと言える。
 異様なしきたり、詠唱、ウェルカムお祭りは相当にイケており、特に祭りのクライマックスは実にあっさりとやってのけていて素晴らしい。『ウィッカーマン』『ミッドサマー』のように厳かにたっぷりとやるのではなく、バサッとやる。こんだけあっさりやられると、ほぼどういうことが起きるか分かっていても逆にショッキングである。残酷絵巻を見慣れている私も「ワ、ワァ~ッ」となった。
 村には色んな人がいる。コテコテの因習ジジイもいれば逃げ出したい人、巻き込まれた人、ヨソの人、因習には従っているが良心はある人もいる。こういう人間味を描くのはベタっちゃあベタだが、きちんとやることで映画に厚みが出る。リンプ・ビズキットのボーカル、フレッド・ダーストが心揺れる保安官役をやっており大層な好演を見せていた。そうなのよこの人は歌手なのよ。覚えて帰ってね……
 惜しむらくは編集であろうか。ピシパシした編集をしちゃっており、結果、粘度や湿度に欠けてしまっている。このアイデア、この役者、この雰囲気に、小気味良い編集は似つかわしくないのではないか。ネッチョリとやってほしかった。あとオチも、勘定合わせのところはもうちょいサプライズ的にやってよかったのでは。ナイスアイデアだったので。
 短所はあるし、アイデアは美味ゆえにもっと美味しくなったかも……との意識は捨て切れない。が、とりあえず実にストレートな呪いビレッジを楽しむことができた。ビックリ描写はいくつもなく、「なんかいやな感じ」で攻めているのが好印象だった。村のお天気が晴れてるのもいいですね。あ~因習を摂取してぇな、古来よりの掟とか見てドンヨリしてぇな、という方にオススメです。
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