手持ち長回し、役者の周りを回遊するカメラワーク。まるでコマ落ちしたかのようなブツ切れの編集。繰り返し多用されるマーシャル・ソラールの印象的なメロディー。
21世紀の今でこそ目新しさは無いが、ゴダール以前・以後と言われる理由はハッキリ分かる。
過去のレビューでも散々述べてるように、狡猾で女にモテる小悪党が大嫌いだ。他人の金をくすね、車を盗み人を誑かすミシェルに感情移入できる要素はどこにも無い。
パトリシアが美人なだけに嫉妬も含む。
ストーリーには何のカタルシスもなく、悪党の戯言が延々続く。正直面白くはない。だからこそ前述のゴダール演出が活きてくる。映像美を堪能する90分と言ってもいいだろう。
ジャンポールベルモント、憎たらしいが嫌いになれない。まさに元祖ルパンだ。