ミッキン

魚からダイオキシン!!のミッキンのレビュー・感想・評価

魚からダイオキシン!!(1992年製作の映画)
3.1
この時代には珍しいメタフィクション。
内田裕也の自己満に付き合わされた関係者にお気の毒様と言いたい。
『とんぼ 』のOPのようにずぶ濡れで海から這い出てきてたかと思いきや、
長渕のそっくりさんには全力で殴る蹴るの暴行。
後はプロモーションビデオのようなカッコつけたシーンの数々、斜め角度の決め顔で直立不動。ハイウェイを飛ばすバイク、銃撃戦にば派手な爆発。後に義理の息子となるモックンとの共同戦線で年甲斐もなくアクションまで披露。

ここまでは90年代の低予算Vシネマといった評価だが、序盤の女子プロレスのシーンは本当に意味わからん。
湾岸戦争の最中、猪木がイラクに乗り込み『平和の祭典』を開催し法人人質解放したことをアナーキーの仲野茂と安岡力也が賞賛するシーン。桑田に南こうせつ、山本コータローはもとより氷室や大友康平まで実名でコケ下ろし。ジョン・レノンやボブ・ディランまであんな風に名前使って問題なかったのだろうか。
伝説の都知事選政見放送もNHKの映像そのまんま。何なら他の候補者の映像まで悪意ある編集で使っている始末。
まさなロッケンロールだ。

それだけに田代まさしに「歌は下手。ジョニーBグッドしか持ち歌がない」と言わせたのは自虐ネタにしても秀逸。本作最大の笑えるポイントだろう。
あと、たけし軍団や景山民夫もアングラ感全開な芝居で馬鹿馬鹿しさに輪をかけていた。そう、まともな映画では無いのである。

昨今問題となっているクルド人移民問題。内田裕也が生きていたらどう解決するのかも気になるところ。

音楽は大野克夫。に、しては終始に渡り安っぽいシンセサウンドで正直ガックリ。何なら宇崎竜童がBGMまで手掛けた方が作品に合ってたかもね。