ミッキン

ネクスト・ゴール・ウィンズのミッキンのレビュー・感想・評価

4.5
毎日乗ってる電車のトレインビジョンで宣伝を観た。
それほど期待せず、特に情報を調べることも無く劇場へ。
午前8時45分の1日1回上映。観客は10人くらいかな。
プロモーションの割に少ない。これはクチコミで面白さを広めなければという使命感に駆られ今レビューを書いている。

サッカーW杯のオセアニア予選に於ける実話ベース、アメリカ領サモア代表の物語。
2001年、彼らは日韓ワールドカップ予選大会にてオーストラリア代表相手に31対0というとんでもない大差で負けている。それどころかこれまで国際公式戦で1点も奪えていない。
お国柄、彼らはのんびりで練習環境も劣悪、選手もコーチもほぼアマチュアという状況なので仕方の無いところだった。
そんな中、アメリカで幾つかのチームを率いながらも解任されて行き場を失ったトーマス・ロンゲンが協会の勧めで嫌々ながら監督に就任。
想像以上に酷いチーム状態にやる気も失せ、試合のハーフタイム中に堪忍袋の緒が切れ辞任を仄めかす。

…といった既視感がなくも無いストーリー。しかしタイカ・ワイティティ監督はウイットに富んだセリフを散りばめコメディーとして実に面白く仕立てている。
いわゆるチームビルディング的な要素もあるが、これはロンゲンがサモア人と触れ合い文化や考え方を受け入れることで彼自身の成長を描いている。
選手の緊張を解すべく、楽しむことを優先したことでチームは奇跡を起こす。
フィクションではなく実際のエピソードなのだ。
タイトル自体ネタバレなのだが解っていても涙腺が緩む。
マイケル・ファスベンダーも役になりきっていた。良作である。