みほみほ

彼方にのみほみほのレビュー・感想・評価

彼方に(2023年製作の映画)
4.0
🌈2024年64本目🌈(字幕)

どんなに辛い目に遭っても、普通に朝は来るし、お腹は減るし、忙しく時は流れていく。心が追いつかぬまま、ぽっかり穴が空いたまま…

生活に溶け込み、悲しみを封じ込めながら生きている彼に自分を重ねたり 家族を重ねたりしていたらとても胸が締め付けられた。

父を亡くした時の悲しみが鮮明に蘇ったし、それでも生きていかねばならぬ過酷さと、周りに取り残され 自分だけが違う世界に生きているような感覚に思えるあの空間をこの作品はリアルに描けていて、その自然さに涙が止まらなかった。

生きているうちはなかなか言葉に出来ない感謝。当たり前になった存在に慣れ、亡くしてから初めて気付くことばかりなのが人間だけど、「今を大切に」 というシンプルかつ強烈なメッセージを本作から感じ、心から次々に溢れ出る言葉にできないものがありました。

最後に出会った家族に対し、何か言葉をかけるのかと思いましたが、何もなかったのが逆に良かった。無理して何かを変えるのではなく、自分が押し込めた悲しみとゆっくり向き合う姿が印象に残った。

崩れるように泣くことが私もよくあったので、ふと我に返ってケロッとする主人公のあの感じがリアルで、本当に誰か大切な人を亡くした方が作られたのかな?と感じた。

海外って銃乱射のイメージあるけど、サバイバルナイフの通り魔が描かれるのが物珍しくて生々しさがあり辛かった。

これ観て何も思わなかった人は幸せだ。
その当たり前が突然なくなる日がいつかやってくるから、「今を大切に」
みほみほ

みほみほ