great兄やん

ストップ・メイキング・センス 4Kレストアのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

5.0
【一言で言うと】
「”道理(パラノイア)”を脱ぎ捨てろ」

[あらすじ]
キャリア絶頂期にいた彼らが全米ツアー中の83年12月にハリウッドのパンテージ・シアターで敢行したライブの模様を収録。バンドのフロントマンであるデビッド・バーンの躍動感あふれるパフォーマンスに、彼を象徴する衣装「ビッグ・スーツ」、エキセントリックなダンスとエキサイティングな演出による圧巻のステージを映し出す...。

とんでもねぇ傑作。地元京都のIMAXでヴァージン(初鑑賞)を卒業したにも関わらず池袋のグラシネで2回目を昨日キメて参りました。いやぁマジで最高過ぎるだろこれ…トーキングヘッズを知らない人だろうがこれさえ観れば一気に沼へとハマりこむであろう鳥肌級の映像体験、いや、ライブ体験だと思うし、まさに”伝説”と評される所以が100%伝わってきた。ある意味座席にただ座っている事がここまで”苦悶”に感じる映画ってホントこれだけなのでは?って思いましたね笑。いやマジで、ありがとうA24!!

とにかく圧倒的。もはやこの傑物に長尺の言葉で並べ立てる必要性は皆無に等しいものであり、デヴィット・バーンの先進的なパフォーマンス力は勿論のこと、終始滑稽なダンスや立ち振る舞いがここまで格好良く錯覚して見えてしまうという、まさにこのメンバーでしか成し得ない恣意的な”奔放”には観ているこちらも不思議な満足感を味わえるほど。サカゼン(笑)スーツを着たデヴィット・バーンのよろけたダンスに横でちょこちょこと可愛らしくリズムを刻むティナ・ウェイマス然り、この”何がなんだか分からないけど何故か楽しくなっていく”感覚はまさしく今作でしか味わえない唯一無二のムーブメントだと言えよう。

それに音楽映画という”作品”の側面から見てもジョナサン・デミ監督のカメラワークの采配は卓越そのものであり、特に演者とカメラの距離感が徐々に密接になっていく、いわば第四の壁をブチ破るかの如くカメラが舞台と融合化していき、パフォーマンスのみでは収まらず演者の息遣いさえも生々しさが漸近してゆく、この絶妙な”一体感”というのが余りにも巧すぎてただただ観ていて言葉を失った。違和感の無さもですし、通常のライブですら味わえないエモーショナルな瞬間というのが余りにも沢山詰まりきっていましたね🤔…

とにかく伝説のライブをフルスクリーンで味わえる最高の映像体験に身も心も没入できる、まさに道理や言葉などではこの”愉悦”は表現でき得ない完全超越的無類の一本でした!!

そもそも自分自身本格的にトーキングヘッズを好きになったのは『アメリカン・ユートピア』を観た後ぐらいだったし、長年のファンからすればただのモグリのような存在ではあるがこれだけは言わせてほしい。トーキングヘッズはマジでサウンドのクオリティが余りにもレベルが高すぎると。
パンク界隈ではインテリな面が濃すぎたりと、一部では”こんなのパンクじゃねぇ!”的な批判の声が挙がってたのも分からなくもないが、個人的にはパンクとしての存在意義云々よりも40年以上前にこんな前衛的かつ革新的なサウンドを生み出せるレベチさに驚きを隠せないですし、名曲once in a lifetimeなんか初めて聴いたとき言葉失いましたからね(・・;)...一体何食ったらアフリカ音楽とロックを融合させるアイデアが思いつくんだよって笑。

そんな中で開催されたパンテージ・シアターでのライブ模様はまさしくリアルタイムで参加していた人からするともう最高のライブ体験だったと思うし、実際に参加して生で体感したかったと強く羨望してしまうくらいでした!!トーキングヘッズを知らねぇそこのアンタ!観ようかどうか足踏みしている暇があったらとっとと観に行ってこい!考えるな!ストップ・メイキング・センス!!(スジなんか捨てちまえ!!)