marimo

風よ あらしよ 劇場版のmarimoのレビュー・感想・評価

風よ あらしよ 劇場版(2023年製作の映画)
3.4
旅先で映画館
上田映劇から徒歩数分に位置する「トラゥム・ライゼ」

移動途中で寄り道して海野町商店街の富士アイスさんの「志゛まんやき」をいただきました
要は今川焼きです
あんことカスタードの両方を購入しましたが焼き立て提供でどちらも美味しい
上田映劇とトラゥム・ライゼからすぐなので訪れた際にはオススメです

トラゥム・ライゼは上田映劇の系列劇場で
こちらの建物は鉄筋コンクリートな佇まいで周りの住宅街に馴染んでいます

どちらの劇場も映劇スタンプというものがあり
鑑賞した作品を映劇パスポートに押してもらえます

ちょうど一つ前の作品から出てきた中学生ぐらいの女の子が母親と一緒にスタンプを押してもらっていました
地元密着型で映画の楽しさを伝えてくれる良い映画館な印象

完全入れ替え制で案内を待っている間は色々な映画雑誌や資料が置かれた小さめのロビーで待ちます

オートメーション化されたシネコンでは失われてしまった温もり
スタッフの方々の映画愛が溢れた空間は初めてきたのに落ち着きます

間もなく案内されこちらも自由席
上映開始はブザーではなくチャイム音

映画が始まるだけでワクワクできるのはミニシアターの醍醐味かもしれません

シアター内は壁が白いこともあり少し迷光が気になりますが
使用しているプロジェクターは高解像
ただサウンドスクリーンの模様がモアレ的に浮き上がってしまうのが明るいシーンでは気になるので
プロジェクターのピントを気持ち少しだけズラしたほうが映像が落ち着くと思いました

今回鑑賞した作品は
吉高由里子主演の”風よ あらしよ 劇場版”
伊藤野枝の生涯を描いた作品です

“福田村事件”の時にも思ったが
たかが100年前というだけで
日本という国がどれだけ変わったのかと
今の時代で生きれたことにあらためて感謝です

今の日本が形成されるまでの間に
本作における伊藤野枝さんをはじめとした活動家の方々の功績があったのでしょう

伊藤野枝さんについてはほぼ知りません
大杉栄とこの2人
劇中では貧乏との発言はあるが
大きな家に住んでいるのでそこまで貧困感はありませんでした

この時代の活動家の方々の収入源が本作だけではよく分からなかったので
そこら辺については調べてみようと思ってます

元々はNHKのテレビドラマということもあるので
この劇場版は再編集によるものなので
ある程度TV放送の制約での演出もあるのでしょう

かなり漂白されてる印象
実際はもっとエグいものだったはずです

伊藤野枝さんが男を取っ替え引っ替えな愛に正直な女性という点
少し自分本位すぎるように見えてしまうのだがその印象通りに受け取っていいのかが疑問でした
おそらく辻潤(稲垣吾郎)の結婚後の変化から蓄積した負の感情などもあると思います
そこら辺が十分に描けていたとは言えず浅く見えてしまう

恋愛描写全般としては、事実ベースで配置しているのみで全て薄っぺらいものに見えてしまいました

また男性の登場人物たちがもれなくクソ男に描かれているのが意図的なものなのか事実に沿ったものなのかも
もう少し史実を学んで自分の中で登場人物たちの背景を固めないとモヤモヤが残ります

またもっと性描写などを生々しく描くことで彼ら彼女らの心の動きに説得力が出たような気がしますが
やりすぎるとレーティングも上がってしまいますし、そもそもTV放送を前提とした演出では無理な気もします

伊藤野枝や大杉栄など当時この国で生きる人の自由を主張した人たち
それを知るきっかけとしては良い作品だと思うが
この作品で感じたものをそのまま受け取るにはどこか信用できない印象が残る作品でもありました
-------------------------------------------------------------------------------
劇場名 :トラゥム・ライゼ
上映日 :2024/04/29(月)
上映時間:13:00 ~ 15:07
上映作品:風よ あらしよ 劇場版
座席  :自由席
marimo

marimo