つぐみ

FEAST -狂宴-のつぐみのレビュー・感想・評価

FEAST -狂宴-(2022年製作の映画)
4.0
個人的にはめっちゃ好きだったんだけど、多分これは私がめちゃくちゃフィリピンに興味があるからであって、関心なければ別に面白くはないと思う笑

フィリピン人チューターと毎日話しててすごく感じるのは、「高いから○○したことない、使ったことない、行ったことない」と言われることの多さ。たとえばiPhoneを新品で買うことはできないとか、魚は高いから滅多に買わないとか、AmazonやNetflixは高いから無料(多分違法)のサービスで映画を見てるとか。

今更開発途上国というまでもないだろうに、んなアホなって思うし、日本だって十分経済的には衰退しててどんどん貧しくなっていってるけど、私たちがつぶさに直面するよりもっと苛烈な経済格差があっちにはある。ドル換算したら2ドルでなか卯の朝定が食べられるとかセリアにめちゃくちゃかわいい雑貨がやまのように売ってるとかプチプラコスメがデパコスにも劣らないクオリティだとか、それを下支えするブラック労働や搾取や模倣や盗用をいいとは決して言わんけど、やっぱインフラが整っていて、一億総中流(今はそうでもないとしてもよ)を目指したことで得てる恩恵ってめちゃくちゃあるんだよね…。もちろん技術や産業の振興と、幸福度(これも曖昧な言葉ですが)が比例するわけではないけど、全てはプロコンですが!!

最初ホラー映画って聞いてたけど、なんもホラーじゃなくてびっくりした、これは香港の映画祭での上映に関する問題?だとかで別のエンディングがあるらしいんだけど、じゃあホラー映画って宣伝したらダメだよね笑 そこは肩透かしだったけど、経済格差や宗教観や家族観という、今知る限りのフィリピンについて余すなくところ体感できて私にとってはとてもエキサイティングな作品でした。しかもその貧富の差をスキャンダラスに描写するのではなく、めっちゃ淡々と、こういうこともありますよみたいなトーンで映しているのがすごく興味深い。ますます知りたいフィリピンと、フィリピン映画のポテンシャルの高さ。
つぐみ

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