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バッドランド・ハンターズのRenのレビュー・感想・評価

バッドランド・ハンターズ(2024年製作の映画)
2.5
『コンクリート・ユートピア』と世界を共にする後日譚は、マ・ドンソク率いるディストピアSFアクションになってしまった。『新感染半島 ~』を思い出さずにはいられない。配信作品なので、『コンクリート ~』よりこちらの方が観る人多いんだろうなと思うと少し寂しい。

今アジアに、もとい世界にマ・ドンソクのような俳優は数えるほどしかいないのではないか。かつてのジャッキー・チェンのように、彼が映えるための映画をあのメジャー感で撮らせてもらえるスター、少なくとも現行の日本にはいない。
不幸にも自分はそういうスタームービーには興味が無く観たこともあまりないのでマ・ドンソクにも疎いのだけど、今作のマブリーファンの評価は気になる。

かなり中途半端な映画だ。『コンクリート・ユートピア』の主題であった「生存本能に駆られた人間の倫理的崩壊」「上の世代の傲慢の割を食う若い世代」というテーマは、何回も見たマッドサイエンスもののジャンルに取り込まれて非常に薄味になった。それをアクションで補填するような作りなのでどっち付かずになっている。
中盤、マ・ドンソクが長い時間本編から退場するが、この時間で進行するドラマが退屈に感じた。医者が子どもを使ってヤバいことをしている、以上の情報に深度が無く飽きてしまうし、「どうせこの後マブリーが全部壊すしなぁ」と身も蓋も無いことを考えてしまう。「権力が子どもを搾取してはならない」「亡くなった人は帰ってこない」それらのメッセージ、どうせ無に帰すんだよなというメタ視点の退屈。

つまり、前作から舞台設定を引き継いだ理由が「マブリー大暴れ大喜利のお題を考えることを怠った」ように思えてしまう。興味を惹くならもっと斬新な設定と悪役を、そうでないならもっともっとアクションで景気良くガハハと盛り上げを。序盤見るからに「マッドマックス」的なノリが出て来たので期待してしまった。

ほとんどのキャラクターが、ヒロイン救出作戦か医者のヤバさのために使われて捨てられていくのも悲しかった。駒以上の魅力のあるキャラクターがとても少ない。マブリーを除けば、スナ(ノ・ジョンウィ)とギス(イ・ヒジュン)しかいなかった。

断面のグロは配信映画らしく頑張っていたが、結果的には凡百も凡百の、頑張って続編作ろうとするとこうなるよねーなジャンル映画に留まってしまっていた。前作と丸っきりタイトルを変えており、特に『コンクリート・ユートピア』の続編とも銘打っていないのはとても偉い!文字数だけ同じ!
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