地味な位置づけのようだけどなかなかどうして、機微に富んだいい映画じゃないか!フォードの要素がしっかり盛り込まれていると思う。
いつもながら馬々の躍動するショットにうっとりしたり驚いたりつつ、「水だ!」と人も馬も川へなだれ込むようすになんだか涙が出てきた。そのあとモルモン教徒たちが火を焚いて楽しく踊るシーンも含めて、きらきらと瑞々しい生命、漲る生命という感じがしたんだよね。
それからジョアン・ドルーが馬車へ戻るところ。振り切るかのように走り出して転び、また走り出す。それを追う横移動の抒情。
ナバホ族を見つけたベン・ジョンソンが一直線に馬を駆って幌馬車の隊列へ知らせに戻るところはスタントじゃないのかな、見事な走りっぷりを何カットも追ってる。
ナバホ族に招待されたモルモン教徒とお尋ね者一家の顛末をみせるシーンは、郷に入りてはというより、自然の掟に従うさまを見せているように感じられた。
ラストシーンで仔馬が幌馬車隊列を先導するかのように躍り出る。これも生命の煌めきという感じでハッとする。
大好きワード・ボンドが短気だが信仰の厚いモルモン教徒のリーダーの役で、時々彼のアップが挟まれるんだけどやっぱりいい顔なんだよなぁ。いとおしいワード・ボンド映画でもある。