kuro

トラペジウムのkuroのネタバレレビュー・内容・結末

トラペジウム(2024年製作の映画)
2.4

このレビューはネタバレを含みます

主人公は,アイドルになるために自分を含めて4人のアイドルグループを結成するためにスカウトに向かう。課題をノートに書いて,実行する目的意識と行動力を兼ね備えている。
一方で,他の3人を自分がアイドルになるために使役するという意図が明確に描かれており,見ていて全く好感度があがらない。観光案内ボランティアや身体障害者サポートもアイドルになるための注目を集めるためであり,アイドルになったときの好感度をあげるためでしかない。
主人公の意図通りTVに出られ,アイドルグループとして事務所に所属し,仕事がとれるようになったところまでが中盤だが,見ている者としては成功を祝おうとも思えず,底意地の悪い者が成り上がっていく様を見せつけられる。一方で,ファンレターの枚数で主人公の人気が他の3人よりもないことも明らかになる。努力だけでは,天性のアイドル性には届かないことが示される。
メンバーの一人が彼氏とのツーショット写真を暴露され,もう一人がアイドル活動への適応障害を起こして,主人公が自身のアイドルになることの想いをぶちまけるところが転である。ここで岡田麿里クラスのどす黒い世界に落ち込んでいくかと少しは期待した。
だが,主人公も事務所との契約を解除し,アイドルを辞めてアイドルになる物語はいったん幕を閉じる。そして,突然「8年後」に場面転換する。主人公は芸能界で成功をおさめ,他の3人はそれぞれ別の道でやっていけて,再開を果たすところで結となる。
起承転まで主人公が観客に対してため込んだヘイトを結で昇華させられなかった。少年ジャンプの10週打ち切りエンドと同様の適当な終わらせ方でしかない。
母親やカメラ少年といった,主人公を見守る存在がでてくるし,一方で嫌みたらしく話しかけてくる同級生が登場するのだが,とってつけたようで全体のストーリーの中で納まりが悪い。
原作者がモブ役で出てくるところは話題作りのつもりかもしれないが,おふざけも大概にしてほしいくらいあってなかった。
OPが流れたところが一番楽しかったので+0.1。
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