ゆめちん

12日の殺人のゆめちんのレビュー・感想・評価

12日の殺人(2022年製作の映画)
3.5
12日の殺人
 
ドミニク・モル監督の前作 "悪なき殺人" が見応えのある作品だったので、本作も公開前から楽しみに。
 
10月12日の晩、大学生クララの焼死体が発見される。昇進したばかりの刑事ヨアンと、ベテラン刑事のマルソーが事件を担当し、彼女の周りの人物への聞き込み捜査を開始する。
 
未解決の殺人事件を描いているものの、謎解きの要素はほぼなく、捜査を行う刑事たちの心理状態を中心に描いた作品になっている。物語は淡々と進むが、途中から登場する女性判事と女性捜査官が流れを変えるのが印象的。

被害者であるクララを巡る複雑な人間関係が明らかになるにつれ、"男性優位な構造" と"先入観への危うさ" が浮き彫りになる構成が巧く、色々と考えさせられる。

登場してくる容疑者候補の連中がどの人たちも怪しく見えるのと、捜査が堂々巡りを繰り返し主人公が閉塞的心情に陥るところが、作品の緊張感として機能し、最後まで集中力を切らさずに鑑賞できた。
 
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