パケ猫パケたん

ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスターのパケ猫パケたんのレビュー・感想・評価

4.6

海岸、ピアノ、貴婦人、新大陸と、原風景に溢れた、生まれながらの名画


『ピアノ・レッスン』🎹🌊🐚 (1993)

🇦🇺オーストラリア 🇳🇿ニュージーランド 🇫🇷フランス  121分

女性監督初のカンヌ映画祭最高賞受賞作


●スタッフ

監督・脚本
ジェーン・カンピオン

音楽
マイケル・ナイマン

撮影
スチュアート・ドライバーグ

美術
アンドリュー・マッカルパイン

衣裳
ジャネット・パターソン

ピアノ・ソロ
ホリー・ハンター

(オリジナル脚本作品)


●キャスト

ホリー・ハンター
(エイダ)

アンナ・パキン
(フロラ)

ハーヴェイ・カイテル
(ベインズ)

サム・ニール
(スチュアート)


●レビュー🐱

フロラ(アンナ・パキン)、なんておバカな子供なん😿と若干、イラつきながらも、圧倒的なニュージーランドの風景と、映像美に飲み込まれるような感覚の中、鑑賞

舞台は19世紀半ば

エイダ(ホリー・ハンター)は、6歳の時に自らの意思で、話すことを止めて、ピアノの音色で心情を伝えるという、変わり者であると同時に、頑固もの

エイダとフロラは、実の親子であるが、
一心同体のような、共依存の関係にあるみたいである(考えてみると、少し気持ちが悪い)

年齢差を超えた、女系家族の親密な描写(男が踏み込めない秘密の領域)は、セリーヌ・シアマ監督の『秘密の森の、その向こう』(2021)に酷似していると思えるし、また、絶海の孤島と波の音は、同監督の『燃ゆる女の肖像』(2019)を自ずと連想をさせる

それほどに、ジェーン・カンピオン監督は、セリーヌ・シアマ監督など、女流監督に影響を与え、尊敬を受けているということ

ピアノの音色のひとつひとつが、エイダ、或いはそれを弾いているホリー・ハンターそのものだから、なんとも官能的
で香ってくる感じで、角ばった顔なのだが、白き裸体と、ピアノ・ソロ🎹も出来るという知性に、自ずと惚れてしまう😻

だから、ベインズ(ハーヴェイ・カイテル)の気持ちがよく分かるし、この孤独な男に、オイラ🐱男どもは、容易くも感情移入をする

海岸で踊るフロラの場面とか、浮気をされていることが分かり、嫉妬から、森の中で、エイダをバックから求めようとするスチュアート(サム・ニール)、これが微妙にスローモーションで撮られていて、如何にも、ジェーン・カンピオンが視覚の天才であるのかが分かる🐱⤴️
或いは、豪雨の中、パフってスカートが萎れて🥀倒れる姿とか
そして、海岸に貝殻で飾り付けるセンスは女性監督らしい繊細さ🌺

そして、ハーヴェイ・カイテル、サム・ニールた男前どもが、エイダにフラれる場面の影👤の美しさ
これは、女性監督の妄想が爆発していて、ある意味新鮮だし、怖くもある

音楽マイケル・ナイマンのミニマムな楽曲も冴え渡っており、ピーター・グリーナウェイの衒学的な曲想とは、異なっている
男性監督の妄想😻の極みが、パトリス・ルコント監督の『髪結いの亭主』(1990)だとしたら、この『ピアノ・レッスン』(1993)は女性監督の妄想🐱の極みだろうよ🎵
マイケル・ナイマンの芸域の広さと同時に、ジェーン・カンピオンの、映画史に対する発想の面白さ🌈

海中に沈んでいく美女といえば、これも映画史の定番であり、ジャン・ヴィゴの『アタラント号』(1934)始め、池田敏春の『人魚伝説』▼(1984)、ギレルモ・デル・トロの『シェイプ・オブ・ウォーター』など、名場面に枚挙に暇(いとま)がないが、これに連なる、映画史に積極的に参加をしているかのようで

しかも、あんな浮上の展開は、あり得ないかも、幻想かとも思いつつも、堂々とフェミニン賛歌と成っているところが、また、凄い🐱⤴️

義指で弾くピアノの音色が、すこぶる官能的😻であり、つくづく、ジェーン・カンピオンって『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)奥行きのある映画📽️を撮るなぁって感心してしまう
そして、深掘りしていくと怖い辺りも
同じであるな((( ;゚Д゚)))


(何度も観たいので円盤🥏欲しいよ🐱)



キノシネマ天神📽️ (聖地枠)

2024ー42ー33


●シネマ世界旅行

(監督がニュージーランド出身かつ、ロケ地でもあるので、ニュージーランド映画扱いとしました❗)

10 🇰🇷韓国『悪い男』(2001)➡️【11 🇳🇿ニュージーランド『ピアノ・レッスン』(1993)】➡️12 🇨🇦カナダ『インフィニティ・プール』(2023)