何も知らずに見たスターリッシュツアーズからまた何も見ないでやってきてしまいました。
カルテットナイトの4人が世紀の大怪盗としてなんかダイヤを盗んで運ぶ、という様子をコンセプチュアルなライブとして見せていて、それ自体はスターリッシュツアーズもテーマとしての世界・旅行、みたいなのはあったから分かるんだけど、イマイチハマらなかった。
画面から出てきたりするぶっ飛び演出をしてた割に基本的には真面目で、天井をしっかり反射した先で見せていたり、作り物のライブとしてではなく、リアルなライブとしての置き方をしてるのかな、って感じ。最後にライブ会場の四隅に4人が巨大化したスタンドが現れるぐらいのことをずっとして欲しかった印象だが、残念ながら前野さんのキャラがピエロみたいなことしてるのが1番タガが外れてるだけだった。っていうか、やりながら大怪盗からただのアイドルに戻っていくのがコンセプチュアルにしたいのか、したくないのかよくわからん。

• #アニメ映画抹茶

うたプリはミリ知らの、ただの映画とライブ好きの、しかもオッサンです。たまたま観た劇場版前作(以下ST)がLV風のアニメとしてめちゃくちゃよく出来ていたことに感動して、本作もそこからの進化を期待して観に行きました。

ざっくり結論として、コレジャナイですね。酷い出来でした。作画班は頑張っていたと思うので、あまり悪しざまに言いたくもないんですが、戦犯がいるなら、あの絵コンテを切った人でしょう。普通に考えたら、悪いのは監督かな。（製作からの口出しがあったりもするのでなんともですが）

STが出来てて、今作が出来てない致命的な点。絵の作り方、特にカット割りや画角が、ライブ映像のそれになってない、です。おかげでSTでは感じられた「ライブを観てるな」という感覚がほぼありませんでした。一応書くと、アンコールの部分の映像だけはライブ感ありました。何故あれを本編でできなかったのか。

ライブっぽさがなくなっている原因はいくつかありそうです。ぱっと思いつく範囲で、①カメラが動きすぎ、カット割りも多すぎ。あれではライブというよりは、ライブという体で演出しているMVですね。それにしても無駄に動きすぎですけど。

②顔面に寄りすぎ。不自然にアップになるカットが多すぎて、肝心のカメラ目線でのファンサにインパクトがなくなっている。引き、寄り、ワイプ、引き、寄り、ワイプの繰り返しで、メリハリがない。寄りが多い分、背景の描写が減ってるのもライブ空間という説得力を削っている。何より、ライブ中継なのに、キャラクターの一人称目線でのカットが入るのはマジで意味不明。この部分はライブ中に流れる動画素材だというならまだしも、そういう演出もないし。なんだったんだアレ。

③キャラやステージの動線が感じられない。STでは、ソロ曲のステージも前に使っていたのとは逆サイドにパンと現れるなど、スタジアムをこう使ってるんだなという動きが感じられた（どちらにせよ物理的に不可能なものばかりなのは置いといて）。曲間も、ここで歌が終わってキャラがここからここに移動して、という、いい意味での無駄がちゃんと描写されてた。が、今作は謎の小芝居を挟んで場面が転換すると、センターステージが全然別物になっているを繰り返しているだけ。これも映像のMVくささに拍車をかけてる。

STはなんだかんだでDolby版とかも含めて上映方式違いで7回観ましたし、ライブハウス仲間とかにも勧めて何人かは実際に観てくれたりもしたんですが、はい、残念でした。どうしてこうなったんですかね。

『劇場版　うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX』を観ました
応援上映を伴ったライブ形式アニメ映画ももうすぐ10年を迎える頃に「ここまで進化したか」と感慨深いとともに、今作の挑戦と課題がはっきりと見えてくる作品でしたね

近年珍しくなくなったアニメ映画の応援上映ですが、今作はその挑戦と課題がはっきりしています。
本来”ライブ”とは読んで字の如く”生”を示すものであり、映画は”録画・録音”が基本なので相性が悪いのを、なんとかライブ感をMAXにするという挑戦の果てに生まれてきた作品群

今作はライブ演出をミュージカル（物語）調にする挑戦をしています。これはちょっと前ならばSound Horizon、SEKAI NO OWARI、最近だとMrs. GREEN APPLEが挑戦していると認識しています

それがアニメ映画になると……どうしてもスクリーンの壁が浮かび上がってしまう印象で、ライブで踊るアイドルと、仮想の中の観客のさらに外側に現実の観客がいるという形になってしまうのが欠点でしょうか

映像や楽曲そのものはいいですし、挑戦した結果なので責めないですが、大きな課題が浮かび上がりました。これは実際に観客を入れて鑑賞しないと気が付かないポイントなのかもしれません。

クオリティ自体は高いと思うので、この挑戦をぜひ続けてほしいです