白人をなだめることで、穏便に生きていく黒人の秘密組織。そこは魔法協会だった。

人種問題に絡めた作品で、黒人の人は、こうやって生きてるんだなぁってのが分かる。

魔法が題材の作品は大好き❤️
なのでもうちょっと魔法のシーンが多かったらスコア上がったかなぁ😅

2025-399

米国。西海岸にあるカリフォルニア州、最大都市ロサンゼルス。
アフリカ系のアレンは、売れない芸術家。編み物をのれんのように吊るしたものを作っている。
アートギャラリーの展示会で、まったく売れずに作品を捨てた帰り道。
強盗と勘違いされて白人の男性たちに絡まれる。そこへ年配の黒人男性、ロジャーが登場して仲介。場の空気を和ませて、誤解を解いてくれる。
その後、秘密組織へと案内されるのだが。そこは白人をなだめることでアフリカ系を保護する魔法協会だった。

監督・脚本は、コビ・リビイ。
2024年に公開されたコメディ映画です。

【主な登場人物】🏙️🌴
［アレン］主役。
［ギャバード］先生。
［ジェイソン］MeetBox社員。
［デデ］協会のボス。
［マスターソン］MeetBox上司。
［ミック］MeetBox創設者。
［ミラー］巡査。
［リジー］思い人に。
［ロジャー］先輩。

【概要から感想へ】🧶🧙🏿
監督のリビイは、1980年生まれ。インディアナ州出身の男性。

イエール大学卒業後に、シカゴのセカンド・シティで即興コメディを学ぶ。その後、ニューヨークに移住して、舞台俳優としてのキャリアを重ねている。
深夜のトーク・ニュース風刺番組『The Opposition with Jordan Klepper』のメンバーに抜擢されて有名に。

スケッチは日本のコント。舞台に立つコント劇の専門家。
今回が長編映画監督デビュー作です。

結婚しているらしいけど、同性愛の傾向がみられる。
精神的には、バイセクシャルだと思われるが隠している。
控えめな性格。
友人を見る視線が恋人を見る視線と違わないので、作品全体にほんのり男色が流れている。

🪢〈序盤〉🎱⏱️
黒人の魔法協会。
中年ばかり出てくる『ハリー・ポッター』
マジカル・ニグロの比喩。一部の黒人の集団が実際に魔法を使って、白人の感情のバランスをととのえている。

［マジカル・ニグロ］🧙🏿‍♀️
メジャー映画に出てくる白人主人公のサポートキャラ。穏やかな性格で知的。主に黒人への経緯を払う意味で、インテリ職や上官につかされている。
主人公が映画内で勝利できるよう、優しく道案内するのが彼らの役割だ。
(マジカルはおそらく『ゴースト』のウーピー・ゴールドバーグからきたのだと思われ)

ようするに、ハンバーグに大根おろし。大根おろしを載せることで、ハンバーグを食べている罪悪感から解放される。
黒人を都合のいいように扱っている。＝人種差別の助長だと反発がおきる。馬鹿にするな、と。
(主にスパイク・リー)

🪢〈中盤〉🏓🧑🏿‍🌾
黒人の視点を体験してもらう。
マジカル・ニグロに疑問を抱いてもらうための前段階として。
・テック企業側の対応。表面的な多様性への疑問と実情について。
・ミックスの女性との恋愛。軽めのロマコメ。

2幕丸々つかって、感情移入してもらうための前戯が行われる。
一般からの低評価の理由を知る。
・会話劇でたるい。細かいニュアンスに対するクレームなので、集中力が求められる。
・監督側の意図は成功しているので、そこまで悪くない点がぼんやりした印象に拍車をかけている。

🪢〈終盤〉📹🌆
ステージに戻る。
引っ込み思案の人が映画で実現したい夢。
過去最高に酷い演説。
怒りをぶつけてストレスを発散して、パラノイアのよう。
(自己中)
3幕で2ヶ所あるが、ノイズとの組み合わせが最悪。スリルを与えて眠気防止のつもりなのだろうが、話が頭に入ってくるのを結果的に妨害している。

黒人解放運動から踏襲した方がいいと判断した文化の側面もあるのだろう。
人種差別に対抗するテーマの性質上、怒りをクライマックスに持ってこないと成立しない、はあるかも。

高尚なテーマを扱っているわりに、落ちがペラい。
そもそも半分ロマコメは無理がある。
対人関係が適当な普段の人間性が駄々洩れ。
いい人、が隠している本音を語る映画って、点数が高くならないから不利だよなぁ。

【映画を振り返って】🍎👩🏿‍💻
監督固有のアイデンティティ。
黒人のステレオタイプなイメージを扱った『アメリカン・フィクション』と同系統の作品なのだが、主人公の性格が全く違う。
アメフィクが、攻撃的なイライラ小僧なのに比べると、本作は穏やかで愛情があり、脇役を地でゆくキャラクター。
マジカル・ニグロが映画で登場するたび「これは俺だ」と共感している。

あくまでも黒人の立ち位置ではなく、彼自身の立ち位置について紐解いているので、入り口と出口が異なっており、観客から反発が起きる。
「こんなのは黒人じゃない」「ゴマスリ野郎が」と。
人種は関係ない。
監督は白人に生まれても同じポジションに立っている。

🙂空気の調整役。
グループで喧嘩が起きないよう、笑顔と「Sorry」で場の空気を和ませる役割を果たしている。
で、
普段の自分に対して、「お前の人生それでいいのか？」のツッコミ。
問いが立てられている。

穏やかな人がつくる映画な分、安心できるので眠い。
夜の場面の多さも手伝って画面が暗くて睡眠導入動画に。

🖍️スケッチ・コメディアンがつくる映画。
数名で舞台に立ってのおしゃべり。
劇中では定期的にギャグが入り、観客が寝ないように工夫されている。
映画である分、背景の変化、VFX、様々な俳優との共演によって豪華さが加味されている。
舞台演劇におけるセットチェンジなので、登場人物にとってはまさに魔法。
YouTubeのようでもあり、グリーンバックの教育番組のようでもある。
舞台俳優としてのキャリアがそのまま活かせる手法なので、上手く考えられている。

ただ、移動の場面でメリハリをつけるのを、落ちまで溜める、はやりすぎ。
それか、尺を縮めて90分に収めてほしかった。

🪄劇場公開映画を使った壮大なツッコミ。
日本人からしても「黒人の扱いが適当だなぁ」と前々から気にしていた題材。
わたしのレビューでも「黒人はインテリ職につけとけばいいと思ってるだろ」と、ちょこちょこツッコミを入れていた。
本作では、そんなもやもやを本人たちの視点から描いてある。

そりゃ着地点は、白人の商売を一刀両断するのを目指す流れに。
監督の魔法が上手くかかって、今後の立ち位置に変化が起きるのか？
現状維持だと希望が薄いから、
まずは有色人種に監督を任せる量を増やす運動から。
ただ、保守の台頭で多様性も大きく後退。
お先真っ暗だけど、腐らずに虎視眈々。
秘密組織を改編して日の目を見るチャンスに向けての準備を。

• #hasisiのファンタジー
• #hasisiの恋愛

“Aren, what's the most dangerous animal on the planet?
-Sharks.
-White people.
When are white people most dangerous?
-When they're teamed up with sharks.
-When they feel uncomfortable.
White people feeling uncomfortable precedes a lot of bad stuff for us.
White people move into a neighborhood, they feel uncomfortable:gentrification.
-Okay.
-White cop sees a Black man, feels uncomfortable:another shooting.
Was a time when all you had to do was look at a white man and make him uncomfortable.
That was pretty much it for you.
For some of us, the last thing we see in this world is an uncomfortable white man.
But I don't blame white people for that.
I blame their discomfort.”
ここまで全部説明しちゃうの珍しいな。
表方がいれば裏方もいるし、人は補完的であると。
で、それがそれぞれの人間ではなく人種で起こっているって見解。
主人公に魅力がゼロなのは彼が正直者ではないことが臭うからだろうな、嫌なやつじゃないはずなのに友だちもいない。

ピンクとグリーン。
魔法使うときのエフェクトがもっとマシだったらもう少しは楽しめたかもしれない。