鷲尾翼

スーパーの女の鷲尾翼のレビュー・感想・評価

スーパーの女(1996年製作の映画)
4.5
【まとめシネマ】#998

【まとめ】
* 個性爆発で最高の役者陣
* 食品の常識と非常識
* 生活に寄り添うカリスマ

本作に出演している役者陣が素晴らしい。伊丹十三監督ではお馴染みの宮本信子や津川雅彦はもちろん、六平直政、高橋長英、三宅裕司、柳沢慎吾など個性派な俳優も出演。また、伊集院光、松本明子、小堺一機、あき竹城などバラエティ番組で活躍するタレントや芸人も出演している。一人一人の個性が、それぞれの人物や人柄に反映した最高の役者陣だ。

本作で伊丹十三監督が描くのは「食の安全」だ。変色した肉を蛍光灯で誤魔化したり、古い肉をひき肉に加工したり、1日目の売れ残りを翌日の日付でリパックして売ることを訴える内容だが、令和の現代に本作を見ると大問題だ。しかし、1996年公開当初でこれが食品への常識だった。実際に公開後に、全国規模の食中毒事件が相次いで発生し、食品の常識が変化して、今に至る。スーパーが守ろうとしているリパックなどを繰り返す常識と、主人公が提案する革新の非常識。その異常な対立は、時代の影響でインパクトのあるコメディと変化する。

本作は、宮本信子演じる主人公のカリスマ性でスーパーが生まれ変わる物語だ。そのカリスマ性に迫るシーンがあるのだが、その言葉の数々は、生活に寄り添うものばかりだ。素敵な生活を思い、動き続けた結末は、痛快な日常だ。
鷲尾翼

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