第二次大戦中から戦後、1939-52年のギリシャ史を背景に、家族を中心とした旅芸人一座の愛憎ドラマ（ギリシャ神話に基づいているとのこと）が重なる。ワンカットの左右対抗政治歌合戦を筆頭に、屋内外の行き来、カメラ自転の全方位ショット、人々が大きく移動するロングショットなど、驚異的な長回しが凄い（特に序盤 30分ほどは、ほぼ 1シーン 1カット）。それら美しい風景や、感情の高まるシーンが、印象に残る。映画技法的に少し難点があり、プロットを追うのが困難（登場人物が多い一方で人物紹介シーンがほぼ無い、各俳優たちに際立った個性が無く識別しにくい、名前を呼び合うことが稀で役名が定着しにくい、過去と現在（1952年）が交錯するカットもあるが説明が不十分で意図が伝わりにくい）。冒頭が 1952年、エンディングが 1939年の、同じ場所エギオンに降り立った一行の様子の映像だが、ラストを 1939年としたことで、作中の長い旅を思い返し深い感慨を抱くと共に、それをこれから経験する彼らに、強い激励の思いを抱く
