岩嵜修平

NN4444の岩嵜修平のレビュー・感想・評価

NN4444(2024年製作の映画)
3.6
予想以上にしっかり「映画」だったので、映画館で観て良かったし、下北沢K2以外もかけると良いと思う(ほぼ全回満席の人気だし)。トークで名前が挙がったように、黒沢清以降と思える作品が多かったが、広告畑のスタッフが多い影響か、話の展開より、イメージや雰囲気を大事にしていた印象。

全体に、恐らく低予算ながら、画づくりに力を入れているのは好ましかったし、下手なJホラーよりルックは良かった。女性視点(もしくは監督自身の視点)からの現実におけるヤダ味、嫌悪感を恐怖対象として表現している点も今、ホラー映画を撮る意義として感じた。騒音やグロゴア表現が少ないのも好み。

映画の質では、やはり中川奈月監督『犬』が圧倒的。演技、撮影、照明、音響全てがバキバキに決まっていた。小川あんは本当に怖い。夫と母の描写は短絡的にも思えたが、ちゃんと、その背景を想像させる。「犬」描写も唐突に思えるが、ちゃんと人にも犬にもイマジナリー過去にも解釈できる余地を与える。

佐久間啓輔監督「Rat Tat Tat」は好みでは無かったが、宮原拓也監督「洗浄」は人間が人間のまま怪異になり、攻撃しないのに怖いというのが新鮮だったし、岩崎裕介監督「VOID」は唐突な非日常化が興味深かったが、人物描写に難あり。脚本の問題か。それぞれ、主演の夏子さんと野内まるさんは印象的。
岩嵜修平

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