彦次郎

幕末太陽傳の彦次郎のレビュー・感想・評価

幕末太陽傳(1957年製作の映画)
4.0
品川遊廓で豪遊後にも居続けた男の軽妙洒脱風な生き様を描いた群像劇。
凄腕の剣豪でなく頭脳の回転で金銭を巻き上げ人間関係をコントロールするという時代劇としては異色の主人公です。高杉晋作という大物も霞むほどの剛腹さも見逃せません。
金にがめついようで執着するような欲望が皆無という点を不思議に思うと肺病からの死への予感が争い難いことが分かります。明るいニヒリストと言えますが一見湿っぽい江戸時代の実はドライな面にマッチしているようにも思えます。
カラーなら更に遊廓が色鮮やかに演出された事が惜しまれます。
ラストについては監督の構想通りにしておけば伝説になった事でしょう。外野の声が悪影響を及ぼす好例。
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