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シャイニングのfonske0114のレビュー・感想・評価

シャイニング(1980年製作の映画)
4.5
スタンリー・キューブリック監督による現代ホラー映画の金字塔と呼ばれる作品。
あるホテルの冬季管理人として滞在することになったジャックと妻ウェンディー、息子ダニー。三人の身にふりかかるのは…という話。

物語の深くはわからずともシンプルにホラー映画として終始不穏で怖い作品である一方、考察を見ても楽しめるという2つの面を持つ映画。
俳優陣による怪演に次ぐ怪演、更に視覚的演出でも見応えがある。


以下ネタバレ感想を。


映画の色々な考察等は専門サイトなどにおいておき、ここでは自分が観賞中に感じたことを書いていきたい。

冒頭10分ほどのところで全て設定は説明され、後はひたすら「どうなるの!?」「何が起こるの!?」というホラー場面が続く。このおかげで、物語のための脳を働せるというよりは、視覚や聴覚ら感覚を研ぎ澄まして目の前の画面に釘付けになることができた。

ホテルの間取りや広い部屋、幾何学的な絨毯の模様など非常に無機質であるがため、孤独感や不安感が出てくるが、ギシギシギリギリと鳴るノコギリのような音楽がまたそれらを増幅させる。
(尚、映画『ジョーカー』におけるサウンドもギシギシと迫るものがあり、この映画の音楽の影響を多分に受けているだろう。またこの映画のオープニングのBGMも、平成ゴジラのVSシリーズにて近いものがあった気がする。)

加えて、上から後ろから横から下からアップから更には鏡からとアングルも非常に見ごたえがある。

俳優陣は少ない上に、幽霊等ではない人間によるホラーなので非常に演技力が求められるが、ジャック家族の顔芸かとも思える鬼気迫る迫真の演技だけでも見る価値は十二分にある。
特にジャック・ニコルソンの普通~殺人鬼~衰弱等々「その時の性格や気分による」表情の違いは尋常ではない。
(余談だが、私はこういう怪演が非常に好きだ。『真実の行方』でのエドワード・ノートン、『レオン』でのゲイリー・オールドマン、邦画では『クリーピー 偽りの隣人』の香川照之なども好きである。)

しかしながら、個人的には常人なウェンディーが他にも勝るとも劣らないほどのインパクトも持っていたと思う。笑

映画の撮り方や演出、キャラクターとインパクトもあり美術性も高いのだと思うので、クリエイターやアーティストはこの作品に影響されたり真似をしてみたくなるのではと思わされる映画では、と見終えた後思った。


余談だが、シャワールームにてウェンディーを追い詰めて言う「Here's Johnny!」という台詞について。

英バンドのオアシスは96年のネブワースで行った伝説的ライブにて、Champagne Supernovaという曲でオアシスと同郷のThe Stone Rosesのジョン・スクワイヤをゲストに呼ぶ。

その際ボーカルのリアムはジョン・スクワイヤを「Here's Johnny!」と紹介しており、私はこっちを先に知っていたため、映画でその台詞が出てきたときに驚いた。笑
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