桃色

シャイニングの桃色のレビュー・感想・評価

シャイニング(1980年製作の映画)
3.8
過去に鑑賞済みですが再鑑賞で。

怖い映画というイメージよりもジャック・ニコルソンの怪演の印象が強い映画。
そして妻の怯える表情がこれまた脳裏に焼き付いて離れない映画。
なので、あんまり怖いという意識はなくて身構えないで見ていけたけど…
いやぁ、これほどジャック・ニコルソン気持ち悪かったっけ?

さて、これは有名な話だけど、スタンリー・キューブリック監督のこの出来に原作者のスティーブン・キングがご不満だったようで、後に彼の脚本で新しいシャイニングが映画化されてます。
そっちは見ていないけれど、実は原作は読んでるので、キングが何が不満だったのかは少しだけわかるかな。
まぁ、映画では「シャイニング」という超能力にあまり言及されてないから…その辺りなのかも。

さて、前置きさておいて。

キューブリック監督が視聴側に「考えろよ」というメッセージを仕掛けるあたりは「2001年宇宙の旅」のよう。
彼ら一家が来たのは偶然なのか必然なのか。

「ここは昔インディアンの墓地だったんだ」
コック長のお爺さんがダニーに伝えた警告。
亡霊たちが巣つ喰う土地という伏線が最初から張られていたね。
そう、再びこのホテルを惨劇の舞台にすべく目に見えない何かたちはジャックを絡めとる饗宴を始めるんですよ。

父親ジャックはもともとアルコール依存症と癇癪持ちで仕事もクビになってる。
妻はいつもイライラと不安をかかえながら、タバコを吸うだけで自活するつもりは全くない。子供は可愛いけれど…どこか現実逃避をしてる様子。
一人異彩を放つ息子のダニー。
彼の指にはもう一つの人格が生きているよう。
このダニーとシャニング同士の交信ができるコック長は「237号室には近寄るな」と警告もしてたよね。

過去に起きた冬場の管理人の惨劇は語られるけれど、それ以外の恐怖もこのホテルの長い歴史にいろいろあったのだろうと伺わせる。
237号室で起きたことも、ほら考えろってことなのね。
そして終止符が打たれた後の写真に見つける人物…
輪廻転生を待って仕掛けられた話とキューブリックは言ってるように見えたよ。

死霊館を観てウォーレン夫妻から学んだことを生かして考えてみるとこのホテルにも悪魔が巣作ってる。
前任者の事件も生贄を欲した悪魔の仕業。過去の諸々もね。
そう考えるとこの映画、余計怖くなってくるから不思議。

でも、非科学的現象の「悪魔」と「超能力」との対決で「シャイニング」軍配があったお話かな。
いや、原作と異なってホテルは残ったままだから(原作だと焼けちゃう)…この悪魔の饗宴はまだ続くことになるのも…
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