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ガメラ 大怪獣空中決戦のHKのレビュー・感想・評価

ガメラ 大怪獣空中決戦(1995年製作の映画)
3.7
昨年ガメラ55周年ということで4K/HDR Dolby Cinema仕様で限定リバイバル上映された本作ですが、正月早々のアンコール上映を本作の舞台でもある地元福岡で鑑賞。

あらためて観ると25年前の作品なのでさすがにCGのレベルは低めですが、手作り感がありながらも力の入った特撮としっかりしたドラマ作りが魅力です。
当時、惰性の如く作られつつも魅力の乏しかったゴ〇ラVSシリーズ(ファンの方々ごめんなさい)と比べ、同じ怪獣映画でありながらその面白さの差に目を瞠りました(その年のキネ旬ベストテンにも怪獣映画として初めてランクイン)。

日本の怪獣特撮の歴史を一歩前進させた平成ガメラ3部作の記念すべき第1作であり、『シン・ゴジラ』の先駆とも言える作品です。
あの荒唐無稽で完全に子供向けだった昭和ガメラにここまでのリアリティを持たせて復活させた監督の金子修介と脚本の伊藤和典、特技監督の樋口真嗣の手腕に拍手です。

とくに当時の現役キャスターたちによるTVのニュース番組を多用して、怪獣映画に自然災害目線の日常のリアルを溶け込ませた演出はお見事。
また、架空の秘密兵器などではなく現存する自衛隊の装備で対抗するところも、今、現実に怪獣が現れたらというシミュレーション効果を高めています。

ガメラは古代文明の生物兵器?ギャオスはどうやって繁殖する?2匹の怪獣はなぜ同じ場所に現れたか?など、いちいちこだわりの設定で唸らせてくれます。

で、大人が観ても面白くなった分、子供はついていけないかというとそうじゃないところが流石(この点は子供が楽しめたのか疑問が残る『シン・ゴジラ』よりも上か)。

リアリティを持たせながらも、昭和版『ガメラ対ギャオス』にもしっかりオマージュを捧げたシーンも随所に見られます(ギャオスの超音波でガメラの腕から緑の血が。ガメラが食らいついた片足をギャオスが自ら切断。ガメラはやっぱり子供の味方?などなど)。

ただ、藤谷文子(当時16歳、ご存じスティーブン・セガールの娘さん)とガメラとの関係性はちょっと説得力に欠ける気がしますが・・・
以前見て『2』はさらに面白かったと知っているせいで本作を観終わっても欲求不満に・・・
これは『ガメラ2 レギオン襲来』も続けて観るしかないですね。
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