アレクサンドル・レフヴィアシュヴィリ作品はこれが二本目。本作はかつてYouTubeで観ようとして途中断念してた。好みの画だったけど当然日本語字幕は無かったので…今日は修復版日本語字幕入りで観られてよかった。そしてやはり好みだ。物語的にはもっと違うテイストになりそうなのをこういう画づくりでやってしまってるのも好い。本筋とはやや関係のないそこはかとないただならなさがある作品は信用できる。白が強めなモノクロームに森の湿度や市街の古い建物やでこぼこした坂道のテクスチャ、そしてつねにゆっくりパンしている端正な撮影が、観ていて飽きない。ニコという青年が紛失したトランクが見つかり、本の詰まった中身は水浸しになっている。というか池のようになったトランクの中に本が浸されている。その本をぴしゃっとした地面に開いて干すシーンが好き。植林地での主体を前景に、それと全く関わりなく後景で黒いドレスを着た人が乳母車を押して通り過ぎるのとか、カット変わりで当然わらわらと捜索の人々が出てくるショットなども好かった。ニコが泊まる狭い部屋の壁が盛大に雨漏りして水がつたい落ちるのやその部屋に何度も入ってくる男などもただならない。ニコを案じるショートカットの女性はとてつもなく美しく透明に撮られていた。
ジョージア映画祭にて
