唯

リッチー・リッチの唯のレビュー・感想・評価

リッチー・リッチ(1994年製作の映画)
3.3
金で買えないものがあると既に悟ってしまうリッチー。
人とは違う生活の中で孤独や違和感や虚無感を感じる彼が友人を作ろうとするのだが、それを執事がお膳立てしてしまう。
金で買えないものを金で買おうとした、その結果の友情だったと知り、深く傷つくリッチー。
こうした幼少期の経験は、その後の人生に暗い影を落とすのではと心配になってしまう。

子供ならではの発想で大人を圧倒し手懐けて行くのは愉快で爽快。
子供が急に大人になっちゃって仕事したら活躍しちゃうものは数多あるけれど、突然変異したわけではなく子供のままで大人として振る舞うのは今作の特筆すべき点。
教育の中で自然と身に付けたビジネス手腕は大きな武器となることは間違いないが、子供として生きられる時代に大人としての在り方を求められるのは悲しいことである。

お金なんかなくても〜と歌う両親の歌唱が素敵過ぎる。
物事の価値を金に置くのではなく、金で買えないもののために資産を築くという両親の価値観が素晴らしい。
物質的な豊かさより精神的な豊かさを大切にしている。
ギルモアガールズのエドワードハーマンがここでも上流階級なのだが、彼には育ちの良さが溢れてるのよね。

「今が世界で一番豊かな時だ」「友達こそ宝ね」というハッピーエンドだが、果たしてこの友達とフラットな関係を築けているか?と問えば答えはノーだろう。
完全に同じ目線に立つことはどうしたって出来ないが、その中で本物の関係を築いて行って欲しい。
唯